MENU

ベルギー、長期療養者に年1回の診断書を求める改革案 復職支援も拡大へ|2026年11月3日版

復職に向けて医療担当者と相談する労働者のイメージ。

ベルギー、長期療養者に年1回の診断書を求める改革案 復職支援も拡大へ|2026年11月3日版

病気で長く働けない人に、毎年の診察と診断書の更新を求める。ベルギーで、こうした仕組みを盛り込んだ復職支援改革が進んでいる。給付の認定を定期的に見直す一方、仕事に戻るための支援を休業の早い段階から使えるようにする計画だ。

10月には政府の法案準備と議会審議が進んだ。ただし、改革案の内容と、すでに施行された義務は分けて読む必要がある。10月22日の現地報道では、法案には委員会での再審議と本会議の手続きが残っていた。Voix Belgeの報道

  • 長期療養者の認定を、原則として毎年の医療面談と診断書で更新する構想。
  • 政府は2029年末までに21万8,000件の認定案件を再評価する方針。
  • 復職支援基金は、働けない状態が少なくとも6カ月続いた人にも対象を広げる計画。
目次

何を変えるのか――認定後も医師との接点を保つ

改革の中心は、一度認定した後の状態を継続して確認することだ。

フランク・バンデンブルック社会問題・公衆衛生相が6月に示した説明では、長期療養者は毎年医師と面談し、働けない状態の認定を更新する。極めて重い病状など、毎年見直しても意味がない場合には例外を設けるとしている。医療保険の給付を担う相互扶助組織「ミュチュアリテ」は、届いた診断書を基に、個別の再評価が必要か判断する。担当相の説明

ここで区別したいのは、主治医との年次面談と、保険側による認定案件の再評価だ。21万8,000件という数字は政府が掲げる再評価の対象件数であり、その人数が復職できると確認されたわけではない。

療養する本人にとっては、治療を続けるだけでなく、認定を維持するための書類提出も重要になる。10月22日の報道では、年次診断書を提出しなければ認定と給付を失う仕組みが法案に盛り込まれている。生活費を支える給付と結びつくだけに、例外の範囲や通知方法は、制度の細部では済まない問題になる。

ここがポイント: 医療面談を増やすことで復職への道を探す一方、書類の提出が給付継続の条件にもなる。支援につながる手続きと、給付を失う手続きの境目が問われている。

書類の確認だけでなく、支援を早く届ける

政府案には、復職に向けた伴走支援の対象を広げる措置もある。

10月2日の閣議発表では、「復職基金」を、働けない状態が少なくとも6カ月続く人にも利用できるようにする案が示された。担当相はこれを、休業の7カ月目からバウチャーを通じた支援を受けられる仕組みと説明している。ベルギー政府の閣議発表

本人が利用する支援だけでなく、雇用主向けの復職奨励金の増額も計画されている。政府が目指すのは、働く人の状態確認と、受け入れる職場への働きかけを同時に進めることだ。

担当相の発表には、保険側の医療チームを増強し、短時間勤務を含めた復職の可能性を本人と検討するというミュチュアリテ側の説明も掲載されている。

この設計が機能するかは、面談後に何が用意されるかで変わる。体調に合う勤務時間や仕事内容を職場と調整できれば、面談は復職の入口になる。一方、受け入れ先の調整が進まなければ、本人には通院と書類提出の負担だけが増えるおそれがある。これは制度の運用を見極めるうえでの論点だ。

法案の成立と、現場の動きは同じではない

ベルギー政府は、今回の措置を復職政策の「第4波」と位置づけている。単独の新制度ではなく、段階的な改革の続きだ。

政府は10月2日、法案の準備段階にあたる第3読会で承認し、関連する政令案も示した。この「第3読会」は議会での可決を意味しない。政府発表にも、下院への提出に向けた手続きを進めると明記されている。

一方で、担当相は6月の時点で、ミュチュアリテや医師が法律の公布を待たず、再評価や支援の準備に着手すると説明していた。

つまり、次の二つを混同しないことが大切になる。

  • 現場の対応:面談への招待、状態の確認、復職支援の準備を進めること。
  • 法的な義務:誰が、いつまでに、どの書類を提出し、未提出の場合にどう扱われるか。

支援の準備が始まったという発表だけで、すべての新しい義務が発効したとは判断できない。本人への案内には、既存の手続きと新制度による変更を明確に区別する必要がある。

今後の注目点は三つ

この改革を評価するには、再評価した件数だけでなく、その後の働き方と給付の扱いを見る必要がある。

  1. 施行日と例外がどう定まるか
    年次診断書の対象者、重い病状の場合の例外、提出期限と通知方法が焦点になる。

  2. 面談が具体的な復職支援につながるか
    基金の対象拡大に加え、勤務時間や仕事内容を調整する支援が本人と職場に届くかが重要だ。

  3. 復職後も働き続けられるか
    政府が掲げる21万8,000件は再評価の目標である。復職した人数や継続して働けた期間とは分けて、成果を確認したい。

年に一度の診断書が、療養者と支援者の接点を増やすのか。それとも給付を守るための追加書類になるのか。次に見るべきなのは、面談の実施件数と、その先で用意された仕事・勤務条件の両方だ。

参照リンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次