長崎市の給食リハーサル、1万食を堆肥化へ 大量廃棄批判で計画を見直し|2026年8月11日版
長崎市は、新設する二つの学校給食センターの開業前リハーサルで調理する約2万6,000食のうち、約1万6,000食を児童・生徒が食べ、残る約1万食を堆肥として再資源化する計画です。
当初は最大約2万9,000食が廃棄される可能性もありました。市議会や市民から食品ロスを疑問視する声が上がり、市は調理数の削減、登校日の設定、堆肥化へと対応を改めました。
- リハーサルは2026年8月18日から26日まで計5回
- 調理数は当初計画から約3,000食減らし、約2万6,000食に
- 最終リハーサルの約1万6,000食は児童・生徒が喫食
- 途中工程の約1万食は食用にせず、すべて堆肥化
何が変わったのか
問題になったのは、安全確認そのものではありません。本番規模の訓練に必要な給食を、食べずに大量廃棄する計画と、その説明の不足でした。
長崎市が9月2日に稼働させるのは、中部学校給食センターと南部学校給食センターです。中部は小学校26校と中学校10校へ最大1万2,000食、南部は小学校12校と中学校11校へ最大4,000食を供給します。
当初、市教育委員会は計5回のリハーサルで約2万9,000食を調理し、少なくとも約1万3,000食を廃棄する計画を説明していました。最終試行以外は工程を止めながら検証するため、学校給食衛生管理基準が定める「調理後2時間以内の喫食」を満たせない可能性があるためです。
市議会では「大規模な食品ロスではないか」との指摘が出ました。これを受け、市は次のように計画を組み直しました。
中部学校給食センター
- 8月18日:約3,000食を調理し、すべて再資源化
- 8月21日:約6,000食を調理し、すべて再資源化
- 8月26日:約1万2,000食を調理し、すべて喫食
南部学校給食センター
- 8月19日:約1,000食を調理し、すべて再資源化
- 8月25日:約4,000食を調理し、すべて喫食
最終リハーサル日には、学校側がテスト日や登校日を設定します。調理だけでなく、配送、配膳、2時間以内の喫食まで、本番に近い状態で確かめるためです。
なぜ1万食は食べられないのか
前半の試行では、調理員が手順や動線を確認し、途中で作業を中断して課題を洗い出します。食材の検収、下処理、調理、配缶、配送という一連の作業に通常より時間がかかるため、完成した料理を安全に提供できる時間を超える可能性があります。
そのため、「希望者に配ればよい」「地域で販売できないか」という案は、衛生管理上そのまま実行できません。安全基準を緩めて食品ロスを減らす、という選択肢ではないからです。
一方で、食べられないことと、焼却などで単純に処分することは別問題です。市は途中工程で生じる約1万食を堆肥にし、資源として活用する方針を示しました。
ここがポイント: 今回の見直しは、給食リハーサルを中止するものではありません。安全確認に必要な調理は続けながら、食べられる分を明確にし、残りを堆肥化する対応です。
市長が謝罪したのは「説明不足」
鈴木史朗市長は7月17日の会見で、リハーサルの目的や必要性、調理した給食の扱いについて、市の説明が十分ではなかったとして謝罪しました。
市側が強調したのは、次の二つを両立させる方針です。
- 児童・生徒へ安全な給食を届けるため、本番規模の検証を行う
- 調理数を必要な範囲に絞り、喫食と堆肥化で食品ロスを抑える
この経緯が重要なのは、市議会での指摘後に「廃棄は避けられない」と終わらず、調理数と処理方法が具体的に見直された点です。ただし、約1万食分の食材を人が食べない事実は変わりません。堆肥化は単純廃棄より資源循環につながるものの、食品としての活用ではないためです。
ネットで目立った二つの受け止め
オンライン上では、大量調理の必要性や公費の使い方を問う反応が目立ちました。「地域住民に提供できないのか」「試行回数や調理数を減らせないのか」といった疑問です。
その一方、学校給食は多数の児童・生徒へ同時に届けるため、実際の食数に近い訓練が必要だという見方もあります。議論の焦点は、リハーサルの要否よりも、必要な食数の根拠と、食べられない給食の扱いを事前に説明できていたかにあります。
今回の見直しで調理数は減りましたが、「なぜこの回にこの食数が必要なのか」という説明が十分かどうかは、今後も検証されるべきでしょう。
次に見るべきは9月2日の本稼働
リハーサルは8月18日に始まり、9月2日から二つのセンターが給食提供を開始します。次の注目点は明確です。
- 約1万食が計画どおり全量堆肥化されたか
- 最終リハーサルの約1万6,000食が安全に提供されたか
- 訓練で判明した課題と改善内容を市が公開するか
- 59校への配送や食物アレルギー対応が本稼働後も安定するか
大量調理施設では、安全のための試行をゼロにはできません。だからこそ、自治体には「必要だから作る」だけでなく、食数の根拠、費用、提供できない理由、再資源化の実績まで示すことが求められます。まず確認したいのは、8月の計画が予定どおり実施され、その結果が市民へ数字で報告されるかどうかです。
