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賃貸申込でSNSまで聞かせない 豪NSW州、個人情報と加工広告に新ルール|2026年10月28日版

賃貸住宅の写真と申込書を確認し、本人確認書類を管理する入居希望者のイメージ。

賃貸申込でSNSまで聞かせない 豪NSW州、個人情報と加工広告に新ルール|2026年10月28日版

オーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)州が、賃貸住宅を探す人の個人情報を集めすぎないための法改正を成立させた。申込書を標準化し、本人確認書類を集める段階を制限するほか、借り手を誤認させるデジタル加工画像には広告での開示を求める。

住宅を借りるために差し出す情報と、貸し手が広告で示す情報を、両側から見直す改革だ。 ただし、成立と全面施行は別。個人情報保護などの主要部分は、州政府が2027年初めの施行を見込んでいる。

  • 申込書を統一し、不要な個人情報の収集を制限する。
  • 第三者の申込サービス以外に、貸主や仲介業者へ直接情報を渡す方法を用意する。
  • 誤認を招く加工画像や、電力などの供給先を自由に選べない物件の条件を広告で開示する。
目次

部屋を借りる審査で、どこまで聞いてよいのか

改革の中心は、入居希望者について「何でも集める」申込手続きを改めることにある。

NSW州政府の発表は、標準申込書を導入し、必要な情報と収集対象にすべきでない情報を明確にすると説明している。不要な質問の例として挙げたのは、本人の写真、SNSアカウント、子どもの詳細、タトゥーに関する情報だ。

家賃を払えるか、契約を守れるかを確認する審査と、私生活を広く調べることは区別される。申込書の統一は、その境界を不動産会社ごとの判断だけに任せないための仕組みになる。

身分証は、契約する意思を伝えてから

議会で可決された条文では、本人確認情報を集められるのは、貸主がその申込者と契約する意思を持ち、本人に書面で通知した場合としている。

多数の応募者全員から早い段階で身分証を集める方法から、契約相手として選んだ人に確認する方法へ移す設計だ。州政府は、運転免許証やパスポートの収集を優先候補者に絞ることで、情報漏えいやなりすましの危険を減らすとしている。

条文には、内見前の申込受付を原則として認めない規定もある。ただし、申込者自身が「内見できない」「内見を希望しない」と書面で伝えた場合は例外になる。遠方から住宅を探す人の申し込みまで、一律に閉ざす内容ではない。

ここがポイント: 改革は、書類の保管方法だけでなく、「誰から、いつ、何を集めてよいか」を申込手続きの入口から変える。

加工写真と光熱費の条件も、広告段階で知らせる

借り手が提供する情報を絞る一方、貸し手には物件選びに必要な情報を示すよう求める。

画像について条文が対象とするのは、見る人を誤認させる合理的な可能性がある、デジタル生成・加工画像だ。広告には、その画像が生成・加工された事実などを記載する仕組みになる。

画像加工そのものを一律に禁じる制度ではない。 州政府は、架空の家具で建物の損傷を隠したり、部屋の広さについて誤った印象を与えたりするケースを例示している。借り手にとって重要なのは、写真の見栄えだけで内見や申込先を決めてしまわないことだ。

もう一つは、建物に組み込まれた電力などの供給契約。新ルールは、供給事業者を自由に選べない仕組みがある場合、その存在と対象サービスを広告で示すよう求める。

家賃だけを比べて選んでも、入居後に電力会社などを切り替えられなければ、毎月の支出の見通しは変わる。契約直前ではなく、物件を比較する段階で知らせる意味がある。

法律は成立したが、主要ルールはこれから

施行時期は、今回のニュースを読むうえで外せない点だ。

NSW州議会の記録によると、法案は2026年9月24日に議会を通過し、10月2日に裁可された。一方、条文はペットに関する一部規定を除き、施行日を別途指定する構成になっている。

州政府が示す主要部分の開始見通しは2027年初め。現地法律事務所Stanton & Stantonの10月14日付解説も、この時期を見込みつつ、収集できる情報や保管・廃棄期間を具体化する規則の確認が必要だとしている。

同事務所が不動産会社に挙げる準備事項は、申込書の見直し、第三者サービスとの契約確認、データ保管手順の点検だ。直接申し込める窓口を設けるなら、オンラインサービスに任せていた受付業務も組み直す必要がある。

現時点で、今回紹介した主要規定をすべて施行済みの権利として扱うことはできない。今後の施行日と運用規則を分けて確認する必要がある。

次に見るべきは、申込書と削除の実務

この改革が借り手の負担を減らすかどうかは、法律の成立後に用意される書式や手順にかかっている。

標準申込書が分かりやすく、必要書類も限定されれば、住宅を探すたびに異なる質問へ答える手間を減らせる。一方、受付窓口を増やしても、担当者が従来どおり余分な書類を求めれば、効果は薄れる。これは制度の実施段階で確かめるべき点だ。

日本で賃貸住宅を探す際にも、契約条件の読み方として参考になる。本人確認書類をいつ提出するのか、提出先は誰か、写真は加工されているか、光熱費の供給先を選べるか。NSW州の制度が日本に適用されるわけではないが、確認する対象は具体的だ。

今後の注目点は三つある。

  • 標準申込書の中身:審査に必要な質問と、認めない質問がどう線引きされるか。
  • 情報の保管・廃棄:不採用者の書類を含め、誰がいつ削除するのか。
  • 広告の表示方法:加工画像や供給契約の制約を、借り手が見落としにくい形で示せるか。

施行日が決まった後は、実際の募集広告と申込フォームがどう変わるかが、改革の成果を測る最初の材料になる。

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