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不安定な原油相場と今後の見通し 最新の海外情報を整理

不安定な原油相場と今後の見通し、最新の海外情報は?

結論から言うと、足元の原油相場は中東情勢とホルムズ海峡の通航不安で、ニュース1本ごとに急騰・急落しやすい局面です。ただ、海外の公式見通しまで含めると、年内ずっと高値が固定されるとまではまだ言えません。短期は90ドル台を中心に荒い値動きが続きやすい一方、供給障害が段階的に和らげば、年後半は80ドル割れに戻るシナリオも残っています。以下は2026年3月11日時点で確認できる海外情報の整理です。

目次

まず足元で何が起きているか

事実として、米エネルギー情報局(EIA)は3月10日公表の最新見通しで、ブレント原油が3月9日に1バレル94ドルで引け、年初比で約50%高く、2023年9月以来の高値になったと説明しました。ロイターによると、その後の値動きはさらに激しく、3月10日にはブレントとWTIが一時119ドル超まで急騰した一方、同日中に急反落しました。3月11日も、IEAによる過去最大級の協調備蓄放出案が報じられるとブレントは87ドル台まで下げ、その後ロンドン時間には91ドル前後へ戻す場面がありました。

つまり今の市場は、通常の景気循環よりも、地政学リスクと輸送障害の見出しで動いています。1日で10%前後動く場面があるため、日中の価格だけでトレンドを断定しにくい状態です。

相場を揺らす核心は3つある

1つ目は、ホルムズ海峡の重みです。 EIAによると、同海峡を通る石油は2023年平均で日量2,090万バレルと、世界の石油液体燃料消費の約2割に相当しました。しかも原油・コンデンセートの83%はアジア向けです。日本を含むアジアの輸入国が、最も影響を受けやすい構造にあります。

2つ目は、迂回手段が限られていることです。 EIAの分析では、ホルムズ海峡を実際に迂回できる稼働中の原油パイプラインは主にサウジアラビアとUAEに限られ、実質的な未使用能力は合計で日量260万バレル程度です。海峡全体の通過量からみれば十分ではなく、輸送障害が長引けば完全な代替にはなりません。加えて、OPECは2月1日の声明で、主要8か国が2026年3月の増産分を見送る方針を再確認したと公表しており、平時のように追加供給がすぐ増えやすい局面でもありません。

3つ目は、備蓄放出は万能ではないことです。 IEAは3月10日の声明で、加盟国が公的備蓄12億バレル超と、政府義務下の民間在庫6億バレルを保有していると明らかにしました。そのうえで、緊急備蓄の市場放出を含む選択肢を協議するため、臨時会合を開くと説明しています。市場心理を落ち着かせる効果は期待できますが、制度上の目的は深刻な供給障害への短期対応であり、長期の価格管理ではありません。通航不安そのものが続くなら、価格の乱高下を完全には止めにくいはずです。

今後の見通しは「短期高止まり」と「年後半の反落余地」が併存

事実ベースの公式見通しでは、EIAの3月見通しが最も分かりやすいです。EIAは、ブレント原油が今後2か月ほど95ドル超で推移したあと、2026年第3四半期には80ドルを下回り、年末には70ドル前後へ低下すると想定しています。年平均でも2026年は79ドル、2027年は64ドルという見通しです。ここでの前提は、中東の供給障害とホルムズ海峡の混乱が今後数週間で徐々に和らぐことです。

一方で、国際エネルギー機関(IEA)の2月月報は、中期の需給そのものは極端に逼迫していない可能性を示しています。IEAは2026年の世界石油需要の増加を日量85万バレル、供給の増加を日量240万バレルと見込み、2025年には大幅な在庫積み上がりも確認していました。要するに、足元の急騰は基礎需給だけでなく、中東リスクの上乗せがかなり大きいということです。衝突が和らげば、相場が下方向に戻りやすい土台は残っています。

見方としては、民間金融機関の警戒も無視できません。ロイター経由のゴールドマン・サックスは、ホルムズ海峡の流量低下がさらに5週間続けばブレントが100ドルに達しうると試算しました。UBSも、閉塞が長引けば100ドル超の可能性を示しています。ただし、これは現時点の確定予想ではなく、混乱が長期化した場合の条件付きシナリオです。

いま見るべきポイント


  1. ホルムズ海峡の通航と船舶保険の正常化が進むか



  2. IEAの協調備蓄放出が正式決定されるか。加えて、3月12日に予定されるIEAの3月月報で需給評価がどう変わるか



  3. OPECプラスが春以降の供給方針を変えるか、実際の中東の減産がどこまで続くか


まとめ

2026年3月11日時点の海外情報をまとめると、原油相場はいま、地政学リスクで一気に跳ね上がる力と、本来の需給に引き戻される力が同時に働いています。短期はニュース主導の乱高下が続きやすく、100ドル再接近のリスクも消えていません。ただ、海外の公式見通しでは年後半にかけて下押し圧力が戻る余地もなお大きく、現時点では恒久的な原油高入りとまでは言い切れません。

参考情報

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