生活保護の追加給付、元受給世帯は申出が必要 受け取り漏れを防ぐ確認点|2026年9月14日版
生活保護費の引き下げを違法とした最高裁判決を受け、追加給付が進んでいる。現在は生活保護を受けていない世帯も対象になり得るが、当時受給していた自治体への申出が必要だ。受付期間は2026年8月1日から2027年7月31日までとなっている。厚生労働省の申出案内
給付が決まっても、対象者が手続きを知らなければ受け取れない。9月13日には、元受給世帯への給付が届かない恐れを取り上げた報道も出た。いま確認したいのは、自分が対象かどうかに加え、申出をする必要があるか、どの自治体に連絡するかだ。ライブドアニュース掲載の報道要約
- 過去に受給していた世帯も、条件に当てはまれば対象になる。
- 現在受給中の場合は原則として申出不要。ただし、別の自治体で受給していた期間には注意が必要。
- 給付額は一律ではなく、受給期間や当時の世帯構成などで異なる。
何が起きたのか――最高裁判決を受けた追加給付
発端は、2013年から実施された生活扶助基準の引き下げだ。
2025年6月27日の最高裁判決は、物価下落を反映する「デフレ調整」について、厚生労働大臣の判断過程と手続きに問題があったとして違法と判断した。厚生労働省はその後、専門委員会での検討などを経て追加給付の方針を定め、2026年3月から自治体の準備状況に応じて支給を進めている。厚生労働省の対応説明
ここで押さえたいのは、今回の給付が過去の基準改定に対応するものだという点だ。政府は、当時のデフレ調整に代えて別の水準調整を行い、その差額を追加給付する仕組みを採った。引き下げ前との差額を、すべての対象者にそのまま返す制度ではない。
同省の方針では、保護費の追加給付は原告と原告以外を区別せずに実施し、訴訟の原告には別途、特別給付金を設けている。給付の対象になるために、裁判へ参加していた必要はない。
誰が対象か――現在の受給状況だけでは判断できない
確認の出発点は、過去に生活保護を受けていた時期だ。
厚生労働省委託の相談センターは、対象世帯を次のように案内している。追加給付相談センター
- 2013年8月から2018年9月までに生活保護を受給したことがある世帯。
- 2018年10月から2026年3月までの受給世帯のうち、入院・入所、障害者加算、期末一時扶助など、対象となる費用が算定されていた世帯。
就職などで生活保護を離れた後でも、過去の受給状況が条件に当てはまれば対象になる。一方、受給歴があれば全期間について同じように給付されるわけではない。基準生活費や加算の種類によって、計算の対象期間が異なる。
給付額も世帯ごとに変わる。当時の年齢、世帯人数、地域、受給月数、加算の有無を踏まえて計算されるため、ほかの人の支給額だけで自分の金額を判断することはできない。
ここがポイント: 「いま生活保護を受けていない」と「今回の追加給付を受けられない」は別の話。過去の受給期間と、申出の必要性を確認したい。
生活への影響――申出先を間違えないことが大切
今回の手続きで見落としやすいのは、引っ越し前の受給歴だ。
現在受給している自治体からの追加給付は、原則として申出なしで行われる。ただし、過去に別の自治体で受給していた期間があれば、その自治体への申出が必要になる。相談センターの説明では、現在の受給先だけで、過去のすべての自治体分が自動的に支払われる仕組みにはなっていない。
また、同じ自治体でも、いったん受給が終了してから再び受給している場合は確認が必要だ。たとえば千葉市は、現在の受給期間とは別に過去の受給期間がある世帯について、申出に基づいて支給すると案内している。扱いは受給歴と自治体の案内を照らして確認したい。千葉市の支給案内
手続き前に整理するとよいのは、次の3点だ。
- いつごろ生活保護を受けていたか。
- どの自治体から受給していたか。
- 当時の世帯主は誰だったか。
現在受給していない世帯は、原則として当時の世帯主が、当時の受給先自治体に申し出る。まずはその自治体の公式サイトや福祉事務所で、提出方法と必要書類を確認するのが確実だ。
今後の焦点は、対象者に案内が届くか
制度の実施だけでなく、過去の受給者が手続きにたどり着けるかが問われる。
9月13日の報道が取り上げたのも、元受給世帯が自ら申し出る仕組みに伴う受け取り漏れの懸念だった。ただし、給付が届かない恐れと、実際に何世帯が受け取れなかったかは区別する必要がある。今後は、申出件数や支給状況、自治体による周知の進み方が確認点になる。
対象者にとっては、全国共通の振込日を待つより、自分の手続きが必要かを確かめることが先だ。支給時期は自治体の準備状況によって異なる。
制度全体の問い合わせ先は、厚生労働省委託の相談センター「0120-179-445」。受付は9時から17時で、8月から10月は土日祝日も開設している。個別の支給額や手続きの進み具合は、受給していた自治体への確認が必要になる。
過去の受給先が複数ある人は、自治体名を書き出すところから始めたい。現在の窓口からの連絡だけを待ってよいかどうかが、そこで見えてくる。
