鈴鹿の「広報すずか」が月1回に 紙を減らしても情報は届くのか
鈴鹿市の広報紙「広報すずか」は、2026年4月号から発行回数を月2回から月1回へ変更しました。単なる紙面リニューアルではなく、自治会の配布負担、スマホで読む市民、外国人住民や高齢者への情報到達が同時に問われる変更です。
市は紙面デザインを刷新し、広報紙アプリ「マチイロ」への掲載も始めました。読む側にとっては「毎月5日にまとまって読む」形へ変わる一方、急ぎの生活情報はウェブサイト、LINE、SNSとどう組み合わせるかが焦点になります。
- 変更時期: 2026年4月号から
- 発行回数: 月2回から月1回、毎月5日発行へ
- 新しい導線: 広報紙アプリ「マチイロ」に掲載
- 生活上の論点: 紙で読む人、スマホで読む人、配布する自治会の負担をどう両立するか
何が変わったのか
鈴鹿市は4月9日、「広報すずか」のリニューアルを発表しました。市の説明では、4月号から紙面デザインを刷新し、発行回数を月2回から月1回に変更しています。
これまでの「5日号・20日号」から、今後は従来の5日号と同じ毎月5日発行へ一本化されます。
主な変更点は次の通りです。
- 発行は月1回、毎月5日
- 紙面はコンパクトにし、記事内容を短く整理
- 右綴じ、縦書きも取り入れたレイアウトへ変更
- 「子育てルーム」を新設
- 「健康館」は「ヘルスプラス」へ変更
- 「情報局」は「まちの掲示板」へ変更
- 紙面の二次元コードからウェブサイトや申込ページへアクセスしやすくする
- 広報紙アプリ「マチイロ」に掲載を開始
市は、紙面に載せる情報自体は維持しながら、表記を整理して読みやすくする方針を示しています。つまり、今回の変更は「広報をやめる」のではなく、紙面を月1回にまとめ、足りない速報性をデジタル側で補う設計です。
なぜ月1回にしたのか
背景にあるのは、スマートフォンの普及だけではありません。鈴鹿市が公表した2024年度の広報活動アンケートを見ると、市民、自治会、LINE登録者で受け止めが少しずつ違います。
市民は「月1回」が過半数
市民3,000人を対象にしたアンケートでは、1,071件の回答がありました。市政情報の入手方法では「広報すずか」が84.6%で最も多く、回覧板の40.0%を大きく上回っています。
紙の広報紙は、まだ鈴鹿市の主要な情報源です。
そのうえで、発行回数については次の結果でした。
- 毎月1回の発行でよい: 51.7%
- 毎月2回の発行でよい: 37.4%
- 発行しなくてよい: 7.3%
「紙はいらない」ではなく、「月1回にまとまるならよい」という受け止めが多いのがポイントです。
自治会には配布負担がある
自治会長397人を対象にした調査では、365件の回答がありました。配布方法について「見直しが必要」と「今のままでよい」がほぼ半々に分かれています。
ただし、見直しが必要とした理由では「月2回の配布が負担である」が78.9%でした。自治会長全体の発行回数に関する回答でも、「毎月1回の発行がよい」が60.0%、「毎月2回の発行がよい」が35.3%です。
ここで見えるのは、読者としての市民だけでなく、広報紙を各家庭に届ける地域の担い手の問題です。紙を続けるには、配る人の負担を無視できません。
LINE登録者は意見が割れた
一方で、LINE登録者対象のアンケートでは「毎月1回の発行でよい」が46.5%、「毎月2回の発行でよい」が45.0%と拮抗しました。
LINE登録者はデジタル情報に接している層ですが、それでも紙面を月2回ほしい人がかなりいます。行政情報は、イベントや手続きの締め切り、健診、子育て、税、災害への備えなど、生活のタイミングに直結します。月1回化で情報が整理される一方、見落としやすい締め切りはウェブやLINEで補う必要があります。
ここがポイント: 鈴鹿市の変更は「紙からデジタルへ一気に移る」話ではありません。紙を残しつつ回数を減らし、アプリやLINEで補う混合型への移行です。
アプリ掲載で便利になる人、取り残されやすい人
「マチイロ」掲載の意味は、PDFをウェブサイトに置くこととは少し違います。市の広報すずかページでは、アプリの特徴として、最新号の通知、バックナンバー閲覧、市ウェブサイトの新着情報、13か国語への翻訳機能などを挙げています。
これは、通勤中にスマホで読む人や、紙面をなくしやすい家庭には便利です。外国語で情報を確認したい住民にとっても、翻訳機能は入口になります。
ただし、アプリ化で全員が同じように便利になるわけではありません。
- スマホ操作に慣れていない高齢者
- 通信環境が安定しない家庭
- 紙の回覧や掲示で情報を確認してきた人
- LINEやアプリの通知を切っている人
- 締め切り情報を紙面でまとめて確認していた人
鈴鹿市の過去の回答集でも、外国語版広報や高齢者への情報発信に関する市民の意見が取り上げられています。市は外国人向け電子広報「City Guide Amigo Suzuka」を配信している一方、高齢者の情報取得では紙や従来型の周知も課題として残ります。
今回のリニューアルは、デジタルに寄せるほど便利になる人がいる一方で、紙を頼りにしてきた人には「確認する日を決める」「家族や地域でLINEやアプリの通知を補助する」といった小さな工夫が必要になります。
生活情報はどこで確認すればよいか
月1回化で大事なのは、情報の種類ごとに見る場所を分けることです。広報紙だけで全部を追おうとすると、急な変更や締め切りを見逃す可能性があります。
読者側の実用的な確認先は、次のように分けられます。
毎月まとめて確認するもの
- 健診、がん検診、健康づくりの案内
- 子育て支援、講座、相談日
- 図書館、博物館、文化・スポーツ行事
- まちの掲示板や地域イベント
これらは、毎月5日の広報紙やマチイロでまとめて見るのに向いています。
こまめに確認したいもの
- 給付金や商品券など申請期限のある制度
- 防災、安全、災害時の情報
- 窓口混雑、証明書、住民手続き
- イベントの中止・変更
こちらは、市公式ウェブサイトやLINEの通知を併用した方が安全です。特に申込期限がある制度は、紙面で見てからウェブで最新ページを開く流れが現実的です。
今後の注目点
今回の変更がうまくいくかは、4月号だけでは判断できません。見るべき点は、月1回化で読みやすくなったかどうかだけではなく、必要な情報が必要な人に届いているかです。
今後は次の点に注目です。
- 月1回化後も、締め切り情報が見落とされにくい紙面になっているか
- LINEや市ウェブサイトで、広報紙に載らない更新情報を補えているか
- 自治会の配布負担が実際に軽くなるか
- 高齢者や外国人住民への案内が紙面、アプリ、やさしい日本語でつながっているか
- 「子育てルーム」「ヘルスプラス」など新コーナーが生活者に探しやすい配置になっているか
鈴鹿市の広報は、70年以上続いてきた紙の市政情報を、月1回の紙面とスマホ通知の組み合わせへ移す段階に入りました。次に問われるのは、紙を減らしたことそのものではなく、健診、子育て、防災、申請期限といった生活の情報が、以前より探しやすくなったかどうかです。
