佐賀市で300円の予約型交通が始動、買い物・通院の足はどう変わる?|2026年10月12日版
佐賀市西部で10月1日、電話やアプリで予約して使う「予約型のりあい交通」の実証運行が始まった。大人は1乗車300円、70歳以上は150円。路線バスの停留所まで歩く負担を減らし、買い物や通院に使える移動手段を増やす取り組みだ。
ただし、運行は午前9時から午後3時まで。利用者からは継続を望む声とともに、夕方まで走ってほしいという要望も出ている。近くから乗れる便利さを、帰りの移動まで支えられるかが課題になる。
- 実証期間は2026年10月1日〜2027年1月30日。月〜土曜日に運行する。
- 対象は市西部の7小学校区の一部。乗降地点は約200か所ある。
- 電話でも登録・予約ができ、スマートフォンは必須ではない。
- 本格運行への移行は未決定。利用者数や乗り合い率などを検証する。
バス停までの距離を縮める、新しい移動手段
今回のサービスは、予約に応じて経路を変え、複数の利用者を運ぶ仕組みだ。決められた乗降地点から乗り、目的地側の乗降地点で降りる。
対象は鍋島・開成・嘉瀬・新栄・日新・勧興・神野の各小学校区の一部。地元タクシー事業者4者が共同で、普通車とワゴン車の計2台を運行する。市内全域を自由に移動できるサービスではないため、利用前に出発地と目的地を確認する必要がある。佐賀市の公式案内
生活上の利点は、運賃だけではない。自宅に近い乗降地点が使えれば、バス停に着くまでの負担も軽くなる。
10月8日のサガテレビの報道では、93歳の利用者が、従来の路線バス停まで歩くのに20分かかると説明し、サービスの継続を希望していた。市によると、開始から1週間で約80人が利用したという。サガテレビの利用者取材
高齢者にとって、停留所までの20分は小さくない。乗り場が近づくこと自体が、外出を続ける助けになる。
なぜ固定ルートのバスだけでは足りないのか
市が試しているのは、日中の移動先に合わせて車両を走らせる方法だ。
佐賀市は対象地域の課題として、バス停から遠い場所があること、クレオパーク鍋島線の日中の利用が少ないこと、既存ルートでは対応しにくい多方向への移動需要があることを挙げている。
通勤・通学では駅や学校へ人が集まりやすい。一方、買い物や通院では目的地が分かれる。市の調査で把握されたこうした需要に、予約に応じた運行で対応できるかを確かめる。
地域情報誌「月刊ぷらざ」も、スーパーへの買い物、通院、家族の送迎負担を減らす手段として紹介している。地域で期待されているのは、日々の用事に使える足だ。月刊ぷらざの紹介記事
ここがポイント: 自宅近くから乗れても、帰りたい時間に運行が終わっていれば往復には使いにくい。乗降地点と運行時間をセットで見る必要がある。
利用者の期待と、午後3時終了という課題
利用者の反応からは、便利さと改善してほしい点の両方が見える。
サガテレビの取材では、自宅から近いことや運賃の安さを評価する声があった。一方で、午後5時ごろまで運行してほしいという要望も紹介された。これは同局が取材した利用者の声であり、地域全体の意見分布を示すものではない。
買い物や診察が長引けば、帰りが午後3時を過ぎることもある。往路だけ予約できても、復路に別の移動手段が必要なら、使い勝手は変わる。
もう一つは到着時間だ。乗り合いでは他の予約に合わせて迂回するため、目的地への到着が遅れる場合がある。時刻が決まっている診察や、その先のバスへの乗り継ぎには余裕を持たせたい。
安い運賃と近い乗り場だけで、毎日の使いやすさは決まらない。 希望する時間に予約できるか、往復で使えるかが、継続利用を左右する。
初めて使うなら、往復の乗降地点と時間を確認
予約は乗車日の7日前から受け付ける。まず利用者登録を行い、乗りたい日時と、出発地・目的地の乗降地点を指定する。
電話で登録・予約する場合は、専用窓口の050-1785-2455へ。受付は月〜土曜日の午前9時〜午後3時で、乗降地点の番号を伝える方式だ。直前の予約も可能だが、予約状況によっては受け付けられない。
利用前に確認したいのは、次の3点になる。
- 乗り場までの距離:自宅と目的地の近くに、使える乗降地点があるか。
- 帰りの時間:買い物や診察を終えて、運行時間内に戻れるか。
- 時間の余裕:乗り合いによる到着時間の変動を見込めるか。
10月17日(土)は、この予約型交通も運賃無料になる。ただし「佐賀さいこうフェス」の会場へ直接は行けず、会場へ向かう場合は乗り継ぎが必要だ。無料対象の日付や運行区域は、市の案内で確かめたい。
実証は来年1月30日まで続く。今後見るべきなのは、利用者数の伸びに加え、予約が集中したときの対応と、午後3時以降の移動需要をどう扱うかだ。利用を検討する人は、まず普段の買い物や通院を往復で組めるか、乗降地点の地図と運行時間を照らし合わせてみたい。
