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PISAで日本が3分野ともOECD首位、読解力の低下が示す課題|2026年9月9日版

教室で文章や数学の課題に取り組む高校生と学習を支える教師のイメージ。

PISAで日本が3分野ともOECD首位、読解力の低下が示す課題|2026年9月9日版

日本の15歳の学力は国際的に高い水準を保った。一方で、読解力の平均得点は前回より下がり、国内では高得点層と低得点層の差が広がっている。

9月8日に公表された国際学習到達度調査「PISA2025」では、日本は科学・数学・読解力の3分野すべてで初めてOECD加盟国中1位となった。今回の結果で押さえたいのは、国際的な順位の高さと、学習につまずく生徒への支援の必要性が同時に示されたことだ。時事通信の記事、OECDの日本分析で確認できる。

  • 日本はOECD加盟38カ国で3分野とも1位。参加した全91カ国・地域では4〜5位だった。
  • 読解力は503点で、前回の2022年調査から13点低下した。
  • 国内の上位10%と下位10%の得点差は、3分野すべてで拡大した。
目次

何が起きたか——「加盟国1位」と「世界1位」は異なる

PISAは、学んだ知識や技能を実際の問題に使えるかを調べる国際調査だ。今回、日本からは全国183校の高校1年生約6500人が参加し、2025年6〜8月に調査を受けた。FNNの報道によると、文部科学省は国際的な高水準の維持を評価する一方、低得点層の割合の上昇を課題に挙げている。

日本の結果は次の通りだった。括弧内の順位は、OECD非加盟国・地域を含む参加全体での位置づけだ。

  • 科学:538点、前回比9点減(5位)
  • 数学:525点、同11点減(5位)
  • 読解力:503点、同13点減(4位)

3分野ともOECD加盟国では首位だが、平均得点の数値は前回を下回った。順位は他の国・地域の成績にも左右されるため、順位だけで日本の学力が向上したとは判断できない。時事通信

さらに、得点差には調査上のばらつきがある。読解力の低下は統計的に有意と報じられている一方、科学の9点減についてOECDは統計的に有意ではないとしている。数字が下がったことと、明確な変化として確認できることは分けて読む必要がある。読売新聞の記事、OECD Education GPS

なぜ重要か——平均の高さだけでは見えない生徒がいる

学校や家庭にとって重要なのは、順位の先にある「どの力が身についているか」だ。

OECDの日本分析では、科学で基礎的な習熟度の目安となるレベル2以上に達した生徒は89%。数学では84%だった。いずれもOECD平均を上回るが、全員がその水準に届いているわけではない。

科学のレベル2は、身近な現象について正しい説明を見分け、提示されたデータから結論が妥当かを判断できる水準を指す。単に用語を覚えているかではなく、知識を判断に使えるかが問われる。OECDの日本分析

読解力の変化は、国語だけの問題ではない

読解力の平均得点が下がり、得点の低い層が増えたという結果は、授業で説明や設問を読み取る段階の支援を考える材料になる。

例えば、数学の文章題では条件を読み分ける必要がある。理科でも、資料に書かれた事実と、そこから導く結論を区別しなければならない。読解のつまずきがどの教科のどの場面に表れているかを見ることが、支援を具体化する出発点になる。

ただし、PISAは個々の子どもの診断ではない。全国の結果を、そのまま目の前の生徒の得意・不得意に当てはめることはできない。実際の答案や説明の仕方と照らし合わせて読むべき情報だ。

生活や学校への影響——端末の利用量だけで説明しない

今回の調査では、デジタル機器やAIの使い方にも注目が集まっている。

テレビ朝日は、日本の学校の勉強でのAI利用頻度が、回答したOECD加盟38カ国で最も低かったと報じた。平日の余暇のSNS閲覧時間も、回答した加盟24カ国では日本が最少だった。テレビ朝日の報道

しかし、これだけで「AIを使わないから成績が高い」「SNSが読解力低下の原因だ」とは言えない。利用状況と成績が同時に示されても、原因と結果まで確定するわけではないからだ。

OECDも、デジタル機器の過度な使用や学校での娯楽目的の使用は、得点の低さと関連していたとし、目的を明確にした節度ある利用を求めている。OECDの公表資料

家庭や学校で考えたいのは、使用時間に加えて、次のような学習の中身だ。

  • 調べた内容を、本人が自分の言葉で説明できるか。
  • 文章の結論と、その根拠を区別できるか。
  • 画面に示された答えを、資料や計算で確かめられるか。

これは今回新たに決まった教育方針ではない。調査が測る「知識を使う力」を、日々の学習で考えるための視点である。

今後の注目点——低得点層への支援をどう具体化するか

次に見るべきなのは、順位を受けた評価よりも、つまずきの分析と支援の内容だ。

OECDは、PISAのさらに詳しい分析を2027年に公表する予定としている。日本についても、読解力のどの課題で差が生じたのか、学校でどのような支援が必要なのかが焦点になる。OECDの公表資料

今後の発表では、次の3点を確かめたい。

  • 低得点層が増えた背景について、課題の種類や学習環境まで分析されるか。
  • 学校が授業中や補習で支援できるよう、人員や時間の確保につながるか。
  • 端末やAIの導入状況だけでなく、生徒が自分で読み、考え、説明できるかを評価するか。

「OECD首位」は日本の到達水準を示す。ただ、教室で必要なのは、設問を読んでも手が止まる生徒に、どの説明や学習時間を届けるかという具体策だ。

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