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リコー・長州産業が次世代太陽電池の量産へ 暮らしに届くまでの課題|2026年10月28日版

次世代太陽電池の製造設備と検査する技術者のイメージ。

リコー・長州産業が次世代太陽電池の量産へ 暮らしに届くまでの課題|2026年10月28日版

リコーと長州産業が10月27日、ペロブスカイト太陽電池の量産に向けた計画を発表した。両社の事業は経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に採択され、国内で製造設備を整える。

重要なのは、工場を整える計画が具体化した一方、家庭や企業が購入できる価格と供給量は、これから確かめる段階だという点だ。今回の発表によって、すぐに電気料金が下がるわけではない。

  • リコーは2030年までに年間数百MW規模の生産体制構築に着手する計画。
  • 長州産業は2027年度内を目途に年間100MW相当の量産設備を立ち上げる。
  • 普及の焦点は、製造能力に加え、耐久性、設置費用、購入する側の需要にある。
目次

何が発表されたのか

両社は同じ次世代太陽電池に取り組むが、発表した製造方法や製品の狙いは異なる。

リコーは印刷技術を生産に活用

リコーの発表によると、生産子会社の東北事業所に拠点を整備する。インクジェット技術を使い、発電に必要な各機能層の材料を精密に塗布する方式だ。

2030年までに年間数百MW規模の生産体制の構築を開始し、その先のGW規模への拡大を見据える。発表にある「構築を開始」と、設備が完成して安定出荷する時期は区別して読む必要がある。

長州産業はシリコンと重ねる方式

長州産業の発表では、製造子会社のCHOSHU PVKとともに、ペロブスカイトとシリコンを組み合わせる「タンデム型」の量産化事業を進める。

異なる層を重ね、従来のシリコン型を超える発電効率を狙う製品だ。2027年度内を目途に年間100MW相当の設備を立ち上げ、その後も建屋や製造設備への投資を進める計画を示した。

ここでいうMWは、年間に製造する太陽電池の発電能力を表す。工場の生産能力が100MWあることと、その年に国内で100MWが設置・稼働することは別だ。出荷先や工事の進み方によって、実際の導入量は変わる。

なぜ国内で量産することが重要なのか

政策上の狙いは、製品を開発するだけでなく、国内で継続して造り、使うところまでつなげることにある。

エネルギー白書2025は、次世代型太陽電池について2040年までに約20GWの導入を目指し、量産技術の確立、生産体制の整備、需要の創出を一体で進める方針を示している。

工場を建てても、購入する事業者がいなければ製造量は伸びない。逆に、導入したい施設が増えても供給できなければ、普及は進まない。今回の企業発表は、このうち供給側の設備投資を具体化する動きだ。

ただし、ペロブスカイト太陽電池をすべて「薄くて曲がるパネル」と捉えるのは正確ではない。環境白書は、軽量・フレキシブル型と、高効率化を狙うタンデム型などを分けて説明している。

  • 軽量・フレキシブル型:従来のパネルを載せにくかった場所への設置が期待される。
  • タンデム型:限られた面積から、より多くの電力を得ることを狙う。

同じ名称でも、導入先が評価する利点は違う。建物に載せられる重さなのか、面積当たりの発電量なのか。製品ごとの仕様が判断を左右する。

ここがポイント: 量産支援の成果は、工場の完成だけでは測れない。購入する側が、価格・寿命・施工条件を確認して導入できる状態になるかが重要だ。

生活や公共施設にはどう関わるのか

当面、具体的な動きが見えやすいのは、施設を所有する企業や行政の調達だ。

環境省は6月、一定の供給力とコスト低減を前提に、政府施設への導入目標を2035年に50〜70MW、2040年に100MW以上とする方針を公表した。環境相会見録では、耐久性や発電効率の向上、量産化、施工方法の標準化も課題として挙げている。

施設の担当者にとっては、パネル単体の価格だけでは判断できない。設置工事、点検、交換まで含め、何年間でどれだけ発電できるかを比べる必要がある。

家庭向けについても、今回の採択を住宅用の購入補助と取り違えないことが大切だ。発表されたのは製造事業への支援であり、家庭への販売価格や導入条件を知らせるものではない。

ネット上では関連企業への期待も

オンラインの市場報道では、量産支援への期待が先行した。トレーダーズ・ウェブの配信記事は、10月27日の支援報道を受け、リコーや原材料のヨウ素を扱う関連企業の株式に買いが入ったと伝えている。

これは投資家の反応であり、消費者全体の評価を示すものではない。市場が将来の成長を見込むことと、利用者が採算の合う製品を購入できることには、時間差がある。

次に見るべきは「いつ、いくらで、どれだけ使えるか」

量産計画の発表後は、設備の規模だけでなく、実際の製品と納入条件が重要になる。

今後は、次の点を確認したい。

  • 設備の稼働と出荷:計画どおりに生産が始まり、納入先が具体化するか。
  • 製品の寿命と保証:屋外での発電性能を、どの期間・条件で保証するか。
  • 導入費用の総額:本体、工事、保守、交換を含めて採算が合うか。
  • 継続的な需要:実証導入の後も、購入や追加発注が続くか。

長州産業が目標とする2027年度内の設備立ち上げは、一つの節目になる。そこへ向けて製品仕様、保証、出荷時期がどこまで具体化するか。施設を持つ企業や行政が導入を判断する材料は、その段階で増えていく。

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