生駒市「たけまる号」萩の台線が100円に、地域の足を利用で支える試み|2026年8月20日版
奈良県生駒市で、コミュニティバス「たけまる号」萩の台線の運賃を大人1回100円とする利用促進策が行われています。小学生以下と障がい者は無料です。
背景にあるのは、同線だけが市の目標利用人数に届かず、すでに週3日運行へ減便されている現状です。値下げの成否は、地域の移動手段を今後も維持できるかを考える材料になります。
- 実施日は7月と8月の火・水・金曜日
- 8月20日時点で残る実施日は21日、25日、26日、28日
- 市内・市外を問わず利用可能
- 乗車定員は12人、支払いは降車時の現金のみ
100円DAYで何が変わるのか
生駒市の案内によると、対象は萩の台線の全利用者です。大人は1回100円、小学生以下と障がい者は無料になります。
利用時に注意したい点は次の通りです。
- 萩の台線の運行日は火曜日・水曜日・金曜日
- 火・水曜日と金曜日では時刻表とルートが異なる
- 料金は降車時に支払う
- キャッシュレス決済には対応せず、現金が必要
- 定員は12人
単に安く乗れる催しではありません。主催は萩の台住宅自治会と生駒市防犯交通対策課で、地域、交通事業者、行政が協力して利用を増やす取り組みです。
なぜ萩の台線は利用増が必要なのか
市は、萩の台線が利用人数の目標を達成できず、運行日数が週3日に減ったと説明しています。現在の「たけまる号」は、市内で計7路線を運行していますが、市の利用案内には、赤字が続けば減便や廃線を検討する場合があると明記されています。
この問題が生活に直結するのは、バスが買い物、通院、駅への移動を支えるからです。車を運転できない高齢者や、家族の送迎に頼る人にとって、運行日がさらに減ることは外出できる曜日の減少を意味します。
ここがポイント: 100円DAYの核心は一時的な負担軽減ではなく、普段は乗らない住民に路線を試してもらい、継続利用につなげられるかにあります。
数字から見える厳しい収支
生駒市地域公共交通活性化協議会の資料では、2023年度の萩の台線について、年間利用者数は6,567人、運行費用は720万3,000円、市の負担額は590万6,000円と整理されています。利用者1人当たりの行政負担額は899円でした。
同資料で比較対象となった5路線全体では、1人当たりの行政負担額は242円です。算定条件には注意が必要ですが、萩の台線は利用者数と費用のバランスに大きな課題を抱えていることが分かります。
一方、利用が少ないからといって、必要性まで低いとは限りません。公共交通は採算だけでなく、車を使えない人が病院や商店へ行けるかという生活保障の面も持ちます。問われるのは、維持の必要性と地域全体の負担をどう両立させるかです。
地域では代替交通も検討されてきた
萩の台地区では、小型で低速の「グリーンスローモビリティ」を使った実証運行も行われました。協議会資料では、実証時の利用は1日当たり13.7人。利用者アンケートでは、約17%に外出回数の増加が確認された一方、効果を判断するには継続調査が必要とされました。
地域の公共交通について発信する市民団体からは、グリーンスローモビリティの利用者が既存コミュニティバスを下回ったとして、移動手段の比較や利用促進策をさらに検討すべきだとの意見も出ています。
こうした受け止めから見えるのは、「バスを残すか、別の乗り物に替えるか」という二者択一ではありません。利用する時間帯、目的地、運行費用、運転手の確保などを比べ、地域に合う組み合わせを探す必要があります。
次に見るべきは100円の後の利用
今回の取り組みを評価するには、開催中の乗車人数だけでは足りません。重要なのは、通常運行に戻った後も利用が続くかどうかです。
今後の注目点は次の通りです。
- 100円DAYで新規利用者がどれだけ増えたか
- 終了後に通常利用へ移る人がいるか
- 火・水曜日と金曜日で異なるルートが利用しやすいか
- 12人定員が需要に合っているか
- コミュニティバスと小型交通をどう役割分担するか
生駒市は、1口500円から参加できる「たけまる号」のサポーター制度も設けています。ただし、寄付だけで利用者不足を解決することはできません。
まず確認できるのは、8月21日、25日、26日、28日の実際の乗車状況です。そこで増えた利用を9月以降につなげられるかが、萩の台線の次の判断を左右します。
