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豪雨から1か月、北陸でまだ泥が出し切れない――氷見800棟・羽咋555棟が迎える「二度目の再建」|2026年9月27日版

豪雨から1か月後の住宅地で、道路に残った泥をかき出す作業の様子。

豪雨から1か月、北陸でまだ泥が出し切れない――氷見800棟・羽咋555棟が迎える「二度目の再建」|2026年9月27日版

8月27日に石川・富山を襲った記録的大雨から、9月27日でちょうど1か月。水は引いたが、現地はまだ「片づけ」の段階にいる。

富山県氷見市では住宅被害が800棟を超え、ホテルなどでの二次避難がいまも約50人。石川県羽咋市では床上浸水161棟、床下浸水394棟にのぼり、住宅の泥出しは10月中旬までかかる見通しだ。

そして、住宅の応急修理や税の減免といった支援制度の申請期限は、11月に固まって並んでいる。この災害の勝負どころは、いま「片づけの人手」と「11月の期限」に移っている。

ここがポイント: 被災地の困りごとは「避難」から「申請と人手」に変わった。期限を1つ逃すと、自己負担が数十万円単位で変わる。

目次

まず押さえる4点

  • 8月27日午前6時20分、石川・富山にレベル5の大雨特別警報。氷見市では12時間雨量317.0ミリで観測史上最大、小松市でも1時間66.5ミリを記録した。
  • 災害救助法は8市町に適用。富山は高岡・氷見・小矢部・射水、石川は羽咋・志賀・宝達志水・中能登。
  • 泥出しのボランティアが足りない。石川県側3市町で参加は延べ約1000人、県は「あと延べ3000人必要」としている。
  • 支援制度の締切は11月に集中。住宅の応急修理は11月26日、税・保険料の減免申請は11月30日が目安。

1か月後の被災地で何が起きているか

雨が止んだ日に被害が終わらなかったのが、この災害の特徴だ。

羽咋市では8月28日、雨がやんだ後にむしろ冠水が広がった。羽咋と中能登から大量の雨水が邑知潟に流れ込み、排水能力を超えたためだ。加えて27日に金丸川の堤防が決壊し、水は千路町方面へ向かった。前夜は車が通れる程度だった道路が、朝には完全に水没して車が浸かった。

邑知潟土地改良区は仮設の排水ホース4本を追加してポンプ能力を上げ、午前11時ごろにようやく水位が下がり始めた。現場で泥をかき出していた住民は「時間がたつほど撤去も片づけも難しくなる」と語っている。

「土砂・洪水氾濫」という被害の形

羽咋市の被害は、単純な川の越水ではなく、上流から土砂と水が一体で押し寄せる土砂・洪水氾濫として整理されている。厄介なのは復旧側だ。流れ込んだ土砂が家屋や水路に残り、上流からも追加で出てくるため、作業が終わらない。

しかも9月3日には、被災から1週間で再び警報級の大雨の見通しが出た。運び出した家具を前に「もう勘弁してほしい」という住民の声が報じられた地域である。能登半島地震で地盤が緩んだ地域に、豪雨が重ねて来た構図がここにある。

生活再建の壁は「金額」ではなく「期限」

自治体は制度を出し切っている。氷見市は9月24日、住宅や農業施設の復旧を含む被災者支援の追加補正予算4億6200万円を市議会で可決した。羽咋市には被災者生活再建支援法も適用されている。

問題は、制度を知って期限内に申請できるかどうかだ。

住宅

  • 応急修理の補助上限は、準半壊が36万7000円、半壊・中規模半壊・大規模半壊・全壊が75万7000円
  • 完了期限は2026年11月26日(延長の可能性あり)
  • 民間賃貸の借り上げ(みなし仮設)、市営・県営住宅の提供も継続中
  • 半壊以上には住宅の取得・改修への補助メニューもある

お金の負担を下げる手続き

  • 固定資産税、市民税、国民健康保険料、上下水道料金の減免は申請期限が11月30日
  • 介護保険料の減免は11月27日まで
  • 災害ごみの処理手数料減免、土砂・がれきの撤去支援、事業者・漁業者の廃棄物処理費補助も用意されている

事業者と暮らしの足

経済産業省は災害救助法の適用を受け、8市町の中小企業・小規模事業者向け支援措置に踏み込んだ。氷見市では被災世帯向けのカーシェア無償提供が12月25日まで、入浴支援も続く。

つまり、支援は「あるかないか」ではなく、罹災証明の取得から逆算して11月までに動けるかという話になっている。高齢世帯ほどここでつまずきやすい。

人手のピークは平日に来ている

石川県知事は9月11日の記者会見で、羽咋・宝達志水・中能登の3市町について、これまでの参加が延べ約1000人、住宅の泥出しを10月中旬までに終えるにはさらに延べ3000人が必要だと述べた。特に足りないのは平日だ。

週末は人が集まり、月曜から金曜が空く。被災家屋の泥は待ってくれない。県が「職場やグループ単位での参加」を呼びかけたのは、個人の善意を足し算しても平日が埋まらないからだ。

氷見市側では8月28日に市社会福祉協議会が災害ボランティア・支えあいセンターを開設し、県外からの受け入れ拠点を整えたNPOも動いている。

ネット上の受け止め

SNSでは、ボランティア募集や必要装備の情報を拡散する投稿が目立つ一方、「週末だけでは間に合わない」という平日人手への懸念、全国的な報道量が地震のときより少ないのではという指摘も見られた。復旧の遅れをめぐる不満の声もあるが、多くは「どこに行けば何ができるのか分かりにくい」という情報面の課題に向いている。なお、被害規模や支援の遅れに関する未確認の数字がそのまま広がる場面もあり、自治体の公式ページで確認する必要がある。

今後の注目点

  • 10月中旬までに泥出しが終わるか。ここが遅れると、住宅の応急修理(11月26日期限)にそのまま食い込む
  • 11月の申請期限に間に合わない世帯が出た場合の延長措置。氷見市は「延長の場合あり」と明記しており、運用の判断が焦点
  • 被害額の確定。速報段階の社会・経済的影響は5市町で約9.5億〜38.7億円と試算されており、確定値と支援規模の差が次の論点になる
  • 重ね被災地域への制度対応。地震で傷んだ地盤に豪雨が重なる地域では、土砂の再流出を止める上流側の工事なしに「復旧完了」と言いにくい
  • 同じ雨で被災した高岡・小矢部・射水、志賀・宝達志水・中能登の状況。報道が氷見と羽咋に集まる分、周辺自治体の進捗が見えにくくなっている

水が引いた映像で終わる災害ではない。次に数字が動くのは10月中旬と11月末だ。

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