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フィンランドの賃貸法改正が10月1日に施行、家主側の解約予告は「6カ月」から「4カ月」に──ベランダでの喫煙も既存契約を含めて原則禁止|2026年10月2日版

フィンランドの賃貸法改正が10月1日に施行、家主側の解約予告は「6カ月」から「4カ月」に──ベランダでの喫煙も既存契約を含めて原則禁止|2026年10月2日版

フィンランドの賃貸法改正が10月1日に施行、家主側の解約予告は「6カ月」から「4カ月」に──ベランダでの喫煙も既存契約を含めて原則禁止

フィンランドで2026年10月1日、住宅の賃貸借を定める法律(住宅賃貸借法、略称AHVL)の改正が施行されました。家主が2年以上続いた契約を解約するとき、借り手に与える予告期間は6カ月から4カ月に短くなります。

もうひとつ大きいのが喫煙です。室内、ベランダ、専用の庭での喫煙は、家主が許可しない限り原則として禁止になります。こちらは改正前に結んだ契約にも適用されます。

一方で、解約予告の短縮が適用されるのは10月1日以降に結んだ新しい契約だけです。「誰の契約に、どのルールがかかるのか」が、借り手と家主の双方にとって最初の確認点です。

この記事の要点

  • 家主側の解約予告:2年以上続いた契約は4カ月、2年未満は3カ月(旧法では1年以上で6カ月)
  • 喫煙:室内・ベランダ・庭で原則禁止。既存の契約にも適用
  • 解約の理由:「その他の極めて重大な理由」が新たに加わり、家主が使える解約理由が広がる
  • 敷金:契約終了から14日以内に、返すか、返さない理由を示す義務
目次

何が変わったのか:借り手が直面する4つの変更

改正の中身は細かい規定の見直しが中心です。ただ、借り手の暮らしに直接かかわるものは次の4つに絞れます。

1. 解約予告の期間:「1年で6カ月」から「2年で4カ月」へ

もっとも影響が大きいのはこの変更です。フィンランド法務省の説明では、ルールは次のように変わりました。

契約が続いた期間旧法(〜2026年9月の契約)新法(2026年10月以降の契約)
1年未満3カ月3カ月
1年以上2年未満6カ月3カ月
2年以上6カ月4カ月
借り手側からの解約1カ月1カ月(変更なし)

表のとおり、差がもっとも大きいのは「1年以上2年未満」の層です。たとえば1年半住んでいる人が家主から解約された場合、旧法では引っ越し先を探す期間が6カ月ありました。新法の契約では3カ月になり、半分に減ります。

借り手側から解約する場合の予告期間は1カ月のままです。

2. 家主が解約できる理由が広がった

これまでの法定の解約理由に加えて、「その他の極めて重大な理由」でも契約を解除できるようになりました。法務省は例として、住宅の周辺で深刻な暴力行為があり、近隣住民の安全が脅かされるケースを挙げています。

従来の理由のどれにもはっきり当てはまらないものの、放置はできないトラブルに家主が対応しやすくするための規定です。

3. 喫煙は「許可がない限り禁止」に

旧法では、喫煙を禁じたい家主が契約書などで明示的に禁止する必要がありました。新法では順序が逆になり、家主の許可がない限り喫煙できないのが標準です。

ヘルシンキ市の賃貸住宅会社Hekaは、電子たばこやハーブ類の喫煙も対象になると入居者に案内しています。大手賃貸会社SATOのオッリ・トング上級副社長は、「たばこの煙は住戸の境界で止まらず、近隣にも影響する」と説明しています。

4. 敷金・立ち入り・入居者の届け出

ほかにも、日々の手続きにかかわる変更があります。

  • 敷金:契約終了または鍵の返却から14日以内に、返還するか、返さない理由を示す
  • 家賃の値上げ:書面での通知が必要で、効力が生じるのは通知から1カ月以上あと。さかのぼって請求はできない
  • 家主の立ち入り:都合のよい日時で合意できない場合、事前に通知した日時なら借り手の同意がなくても入れる
  • 入居者の届け出:同居人数、居住の根拠、成人の氏名・生年月日・連絡先を書面で家主に知らせる義務
  • 借り手が亡くなった場合:単身の借り手が亡くなると、家主が死亡を知った月の末日から2カ月後に契約が終わる。残された家財の扱いも定められた

なぜ今この改正なのか:政府のねらい

1995年に制定された法律を、いまの賃貸市場に合わせて見直すのが今回の改正です。

法務省は目的として、家主と借り手の権利と義務を明確にすること、紛争を減らし裁判所や強制執行の負担を軽くすること、賃貸住宅を供給する魅力を高めることを挙げています。ペッテリ・オルポ首相の連立政権の政策合意に盛り込まれていた項目です。

ここがポイント:改正の軸は「家主が貸しやすくなること」です。解約予告の短縮と解約理由の拡大はどちらも家主側の選択肢を広げます。一方、敷金の14日ルールや家賃値上げの書面通知は、借り手を守る側の規定です。

ただし、短期の民泊(Airbnb型の貸し出し)は今回の改正の対象外で、環境省の所管とマンション管理組合に関する法律で別に扱うとされています。

賛否の割れ目:借り手団体は「居住の安定が弱まる」と反発

改正に対する評価ははっきり分かれています。

借り手側:3カ月では足りない地域がある

借り手の権利団体Vuokralaiset ry(フィンランド借家人連合)は、法案段階から解約予告の短縮に反対してきました。地方紙Suomenmaaの報道によると、事務局長のアンネ・ヴィータ氏は、6カ月の予告期間は「新しい住まいを探し、家計を整え、無理なく変化に適応する現実的な機会」を借り手に与える大切な仕組みだったと述べています。

ヴィータ氏は、3カ月の予告が適用される借り手が増えることも問題視しています。地域によっては、住み慣れた場所で3カ月以内に次の住まいを見つけるのは難しいという指摘です。

家主側:トラブル対応と貸し出しのしやすさ

家主側や賃貸会社の受け止めは、運用がしやすくなるというものです。賃貸会社や不動産仲介業界の団体は、施行前から入居者や会員向けに変更点の周知を進めてきました。喫煙の原則禁止や新しい解約理由については、近隣トラブルへの対応手段が増えると位置づけています。

判断の分かれ目

対立している点は、次のように整理できます。

  • 賃貸の供給:家主の負担が軽くなれば、貸し出される住宅は本当に増えるのか
  • 居住の安定:予告期間が短くなることで、とくに住宅が不足する都市部の借り手にどこまでしわ寄せが来るのか
  • 「極めて重大な理由」の線引き:新しい解約理由がどこまで広く解釈されるのかは、今後の紛争や判例を見ないと分からない

これからどうなるか:3つのシナリオ

新しい解約予告ルールは新規契約にしか適用されないため、影響は一度に表れません。古い契約が新しい契約に置き換わるにつれて、少しずつ広がっていきます。

シナリオA:静かに定着する

喫煙の禁止や敷金の14日ルールのように、トラブルを減らす規定が先に効果を見せ、解約予告の短縮で困るケースが目立たないまま定着する展開です。賃貸会社が既存の入居者に一斉に案内を出していることは、この方向を後押しします。

シナリオB:都市部で摩擦が表に出る

住宅が不足するヘルシンキ首都圏などで、1〜2年住んだ借り手が3カ月で退去を迫られる事例が積み重なる展開です。借り手団体の懸念が具体的な事例として表に出れば、予告期間の見直しを求める声が強まる可能性があります。

シナリオC:新しい解約理由をめぐる紛争が増える

「その他の極めて重大な理由」の解釈をめぐって、家主と借り手の争いが裁判に持ち込まれる展開です。紛争を減らすという改正の目的とは逆の結果になりかねず、最初の判断がどう出るかが先例になります。

日本の借り手から見ると

日本の普通借家契約では、借地借家法により、家主からの解約申し入れには6カ月前の予告が必要で、さらに「正当事由」がなければ認められません。フィンランドの旧法の6カ月は日本と同じ長さでしたが、新しい契約では日本より短くなります。

日本で賃貸契約を結ぶときにも、次の点を確認しておくと安心です。

  • 契約書に、家主側からの解約予告期間がどう書かれているか
  • 定期借家契約か普通借家契約か(定期借家なら期間満了で終わる)
  • 喫煙の可否と、ベランダが禁止範囲に含まれるか
  • 敷金の返還時期が明記されているか

今後の注目点

  • 新規契約への置き換えの速さ:解約予告の新ルールは10月以降の契約が対象。引っ越しが多い都市部ほど影響が早く広がります
  • 「極めて重大な理由」の最初の判断:どんな行為が新しい解約理由に当たるのか。初期の紛争の行方がその後の運用を決めます
  • 賃貸供給への効果:家主の負担軽減が実際に賃貸住宅の増加につながったのか。政府が掲げたねらいの検証が残されています

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