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EU「修理する権利」、18カ国に是正要求 保証切れ家電はどう変わる?|2026年10月29日版

洗濯機の内部を点検する修理技術者と作業台に並ぶ工具。

EU「修理する権利」、18カ国に是正要求 保証切れ家電はどう変わる?|2026年10月29日版

保証が切れた洗濯機やスマートフォンでも、メーカーに修理を求められるようにする。EUが進める「修理する権利」は、買い替えに流れがちな消費生活を変える制度だ。ただ、その権利を各国で使えるようにする法整備が遅れている。

欧州委員会は9月25日、国内法への完全な取り込みを通知していない18加盟国に対し、侵害手続きを開始した。EU共通の期限を迎えたことと、各国の消費者が新制度を十分に利用できることには、隔たりがある。 Lusa通信の報道が、この足踏みを伝えている。

  • 新制度は、対象製品について保証期間後もメーカーに修理を求める道を設ける。
  • 修理が一律に無料になるわけではなく、対象製品や修理可能性にも条件がある。
  • 18カ国への通知は手続きの第一段階。直ちに罰金が科されたわけではない。
目次

何が変わる? 販売店の保証とは別にメーカーへ修理を求める

大きな変更は、保証期間が終わった後の修理にも、メーカーが応じる義務を設けることだ。

欧州委員会の制度説明によると、対象はEU法で修理可能性の要件が定められ、指令の付属書に掲載された製品。冷蔵庫やスマートフォンなどについて、合理的な価格と期間で修理を提供する仕組みとなっている。

メーカーには、修理サービスの情報や一般的な修理の参考価格を、消費者が確認しやすい形で示すことも求める。修理を不当に妨げる契約条項やハードウェア、ソフトウェア上の手法にも制限を設ける。

ただし、二つの制度を混同しないことが大切だ。

  • 販売店の法定保証:製品が契約内容に適合しない場合などに、販売店が修理・交換に応じる仕組み。
  • メーカーの新しい修理義務:対象製品について、保証期間後も修理を求められる仕組み。有料になる場合がある。

保証内の修理を選んだ際には、法定保証を追加で1年延長する措置も盛り込まれている。もっとも、各国には既存の保証制度があるため、具体的な取り込み方まで完全に同じになるわけではない。

ここがポイント: 「保証切れだから修理を頼めない」という行き止まりを減らす制度だ。あらゆる製品を、いつでも無料で直してもらえる制度ではない。

なぜ18カ国に是正要求が出たのか

EUの指令は、加盟国が国内法に取り込み、運用できる状態にする必要がある。今回の期限は2026年7月31日だった。

Lusa通信によると、欧州委員会はポルトガル、フランス、スペイン、イタリア、オランダ、スウェーデンなど18カ国に正式通知を送った。問題とされたのは、指令を完全に国内法化したとの通知が期限までになかったことだ。

通知後には2カ月の回答期間が設けられる。EU専門媒体Eunewsによれば、満足できる回答がなければ、欧州委員会は次の段階となる「理由付き意見」の送付を検討する。

このため、9月の通知だけから「18カ国では現在も一切使えない」「罰金が確定した」と読むのは正確ではない。見るべきなのは、その後の各国の法整備と、実際の適用開始日である。

フランスの案内にも表れる時間差

フランス政府の公共サービス案内は、9月10日更新の説明で、EUレベルの期限は到来した一方、国内法への取り込み作業が続いており、新しい規定はフランスでまだ全面的には適用されていないと明記した。

同案内が紹介する対象には、掃除機、スマートフォン、タブレット、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、食器洗い機が含まれる。消費者に身近な製品が並ぶだけに、制度の紹介と利用できる時期を分けて伝える必要がある。フランス政府の説明

法律が整っても、修理を選べるとは限らない

権利ができても、見積もりが高額だったり、修理まで長く待たされたりすれば、買い替えを選ぶ人は残る。

エラスムス大学ロッテルダムの民法研究者、ヨシェ・デ・フォーヘル氏は、制度が「自ら動き、情報を得られる消費者」を前提にしている点を指摘する。修理を選び、依頼先を探し、権利を行使する負担は、なお消費者側にあるという見方だ。同大学の解説

同氏がもう一つ懸念するのは、修理が不可能な場合の例外である。メーカーが修理できないと判断した際、技術的な知識のない消費者が反論するのは難しい。

ここには、実施後の二つの道筋がある。

  • 修理が選ばれる場合:依頼先と価格が分かりやすく、納得できる日数で戻ってくる。買い替え以外の選択肢が実用的になる。
  • 買い替えが続く場合:修理費や待ち時間が負担となり、説明を求めたり争ったりする手間も大きい。権利があっても利用が進まない。

これは今後を考えるための整理であり、制度の効果がすでに実証されたという意味ではない。国内法の成立件数だけでは、消費者の行動が変わったかまでは分からない。

次に見るべき三つのポイント

今後の焦点は、正式通知への回答と、家庭が修理を頼む場面での使いやすさだ。

  1. 各国でいつ利用できるか
    国内法の成立日だけでなく、適用開始日や対象契約の条件まで確認する必要がある。
  2. 修理価格と所要日数が見えるか
    買い替え価格と比較できる情報があって初めて、消費者は修理を選びやすくなる。
  3. 修理を断られたときに争えるか
    拒否理由を理解できる説明と、相談・紛争解決の窓口が実際に機能するかが問われる。

洗濯機が故障したとき、メーカーの窓口で費用と修理日を確認できるのか。それとも対象外という回答の理由を調べるところから始めなければならないのか。「修理する権利」の成果は、その差に表れる。

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