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イスラエル総選挙、両陣営が過半数に届かず 政権の行方は連立交渉へ|2026年10月28日版

イスラエル国会議事堂と、連立交渉の行方を表す分かれた議席のイメージ。

イスラエル総選挙、両陣営が過半数に届かず 政権の行方は連立交渉へ|2026年10月28日版

イスラエルで10月27日に行われた総選挙は、出口調査でネタニヤフ首相側、元軍参謀総長ガディ・アイゼンコット氏側のいずれも過半数に届かず、政権の行方が見通せない状況となった。首相側の苦戦は、直ちに政権交代を意味しない。 次の焦点は、開票結果を踏まえて誰が連立を組めるかだ。

2023年10月7日のハマス主導の攻撃と、その後の一連の戦争を経て初めての総選挙である。ただし、今回の投票だけで停戦や地域情勢の変化まで決まったと受け取るのは早い。

  • 出口調査では、両陣営とも国会の過半数である61議席に届いていない。
  • ネタニヤフ氏とアイゼンコット氏は、それぞれ政権を担う意思を示した。
  • 出口調査と開票途中の数字は確定結果ではなく、議席配分と連立交渉を分けて見る必要がある。
目次

何が起きたか――「最大勢力」と「政権を組める勢力」は別

イスラエル国会クネセトの定数は120。過半数は61議席だ。

ロイターによると、投票終了後に主要テレビ局が公表した出口調査では、両陣営の議席予測が拮抗し、どちらにも明確な政権獲得への道筋は示されなかった。同国では単独政党が61議席を獲得した例はなく、連立が通常の政権運営の形となっている。ロイターの報道

ここで区別したいのは、政党単位の順位と、協力する政党を合わせた陣営全体の議席数である。ある政党が第1党になっても、他党から十分な協力を得られなければ過半数には届かない。

10月28日のAP報道も、開票が進む中で最終結果はまだ出ていないと伝えている。途中段階の得票率を、そのまま確定議席や次期首相の決定として扱うことはできない。APの開票状況報道

選挙の勝敗を見る物差しは、最終的に61議席の支持を集められるかどうかにある。

なぜ重要か――戦争後の政治を誰が担うのか

今回の選挙は、2023年10月7日の攻撃後、ガザ、レバノン、イランでの戦争を経て行われた。国内政治の選択と、安全保障を担う政権の選択が重なる投票だった。

ロイターが紹介したイスラエル民主主義研究所のヨハナン・プレスナー所長の評価は、この結果の難しさを示している。出口調査はネタニヤフ氏の連立にとって大きな敗北を示す一方、アイゼンコット氏が明確な勝者になったわけでもなく、開票によって情勢は変わり得るというものだ。

首相への評価と、次の政権への支持は一致しない

現政権への支持が減っても、その票が一つの代替政権にまとまるとは限らない。首相交代を望む政党同士でも、連立の相手や政策条件まで一致する必要があるからだ。

この違いは、海外から情勢を読む際にも重要になる。「ネタニヤフ氏が苦戦した」という情報だけで、外交や軍事方針の転換まで予測することはできない。

ここがポイント: 出口調査が示しているのは議席の見通しであり、次の政権の顔ぶれや政策の決定ではない。開票後も、連立を組むための交渉が残る。

今後の見通し――三つの条件で考える

現段階では一つの結末を断定できない。以下は結果の予測ではなく、今後の報道を読むための条件整理だ。

1.首相側が支持を積み上げる場合

最終議席と他党の協力によって首相側が過半数の支持を確保できれば、ネタニヤフ氏が政権維持に向かう道が開く。

ただし、過半数を得るためにどの政党と、何を条件に合意するかが重要だ。首相が続投する場合でも、連立の構成によって政策上の優先順位は変わり得る。

2.野党側が政権形成の合意をつくる場合

アイゼンコット氏側が必要な支持を集められれば、政権交代につながる。

その際に確認すべきなのは、首相交代への賛成だけでなく、安全保障や国内政策で共同の方針を示せるかという点だ。政権の発足と、安定して運営できることは別の課題となる。

3.どちらも過半数の支持を集められない場合

両陣営が必要な協力を取り付けられなければ、政権形成の難航が続く。

ネタニヤフ氏とアイゼンコット氏は、それぞれ国を率いる立場を主張しているとロイターは報じた。しかし、政治家による勝利の主張と、国会で確保できる支持は分けて受け止める必要がある。両氏の発言を伝えたロイター報道

誰に影響するか――国内の政権形成と地域の安全保障

直接の影響を受けるのは、次の政府による判断を待つイスラエルの住民だ。連立交渉では、誰が首相になるかとともに、どの政党が政府の意思決定に加わるかが問われる。

周辺地域にとっては、次の政権がどのような安全保障・外交方針を示すかが重要になる。ただし、選挙結果と実際の軍事行動、外交交渉の進展を一つの出来事として扱うべきではない。それぞれ別の発表と事実確認が必要だ。

日本の読者も、政権交代の可能性だけを根拠に、中東の緊張緩和や原油・物流への影響を決めつけないようにしたい。選挙報道から確認できる範囲と、地域情勢について別途確認すべき範囲を切り分けることが、判断の出発点になる。

次に見るべき三つのポイント

今後は、速報の順位より次の三点を追うと政権の行方が分かりやすくなる。

  1. 最終的な議席配分――出口調査からどれだけ変わり、各陣営が61議席にどこまで近づくか。
  2. 連立協力の具体的な表明――どの政党が誰を支持し、どの政策を参加条件にするか。
  3. 安全保障・外交についての合意内容――政権の顔ぶれだけでなく、共同で何を実行すると約束するか。

次の決め手は、両氏の勝利宣言ではない。どの政党の支持を積み上げ、61議席につなげる具体的な合意を示せるかだ。

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