緊急地震速報「M9.9」誤報、再発防止の機能が動かず 何が課題か|2026年10月21日版
10月16日に北海道から中部地方へ出された緊急地震速報の誤報では、過去の誤報を受けて設けた防止機能が正常に動いていなかった。気象庁は同日夜に緊急対策を実施したが、詳しい調査は続いている。
20日の国土交通相会見でも、この問題が取り上げられた。問われるのは、計算の誤りを直すことに加え、すでに導入した対策が実際の地震で働くかをどう確かめるかだ。国土交通省の会見要旨
- 16日昼の速報では、地震の規模をマグニチュード9.9と過大に推定した。
- 震源から700キロ以上離れた観測点を計算から除く機能が、正常に動作していなかった。
- 気象庁は緊急対策後、今回の地震では警報が出なくなることを確認した。
- 利用者は、次の速報でもまず身を守る行動を取る必要がある。
何が起きたのか――地震の規模と揺れを過大に計算
問題の速報は、10月16日午後0時40分に発表された。国交省の説明では、同日午後0時35分にカムチャツカ半島付近で発生した地震について、規模を過大に見積もり、北海道から中部地方の広い範囲へ警報を出した。実際には、国内で強い揺れは観測されなかった。
気象庁が同日夕方に公表した説明では、計算過程に次の問題があった。
- 地震の規模の計算:日本から非常に遠い地震に、国内用のマグニチュード計算式を適用した。
- 各地の揺れの予測:マグニチュードの計算と震度予測で、本来そろえるべき震源の位置が異なっていた。
地震そのものの規模を表すマグニチュードと、各地での揺れを表す震度。その両方を求める処理に問題があり、広域への警報につながった。気象庁の第2報
なぜ重要か――過去の教訓を生かす機能が働かなかった
今回の問題で重いのは、過大な予測を防ぐ仕組みが、すでに用意されていたことだ。
気象庁は2020年7月30日の鳥島近海の地震で過大な速報を出した事例を受け、震源から700キロ以上離れた観測点を、マグニチュードの計算に使わないことにしていた。しかし今回は、その機能が正常に動作していなかった。
同庁は16日午後9時30分ごろ、この機能を動作させる緊急対策を実施。対策後の処理では、今回の地震に対して緊急地震速報の警報が発表されなくなることを確認したと説明している。気象庁の第3報
ただし、今回の地震で対策の効果を確認したことと、問題全体の調査が完了したことは別だ。気象庁も調査を続け、必要な対策を実施するとしている。
今後は、なぜ既存の防止機能が働かなかったのか、どの条件で同様の問題が起こるのかについて、説明が必要になる。過去の事例だけでなく、異なる震源や観測データでも対策が働くかが、再発防止を判断する材料になる。
生活への影響――誤報の後も「まず身を守る」
警報を聞いた人にとって切実なのは、次に鳴ったとき、どう動けばよいかという点だ。
緊急地震速報は、強い揺れまで数秒から数十秒しかない場面で使う情報だ。その場で誤報かどうかを調べてから動く時間はない。気象庁は、速報を見聞きしたら、周囲の状況に応じて身の安全を確保するよう案内している。気象庁の行動案内
具体的には、次の行動になる。
- 家の中:頭を守り、丈夫な机の下など安全な場所へ。慌てて屋外へ飛び出さない。
- 店舗や公共施設:身を守り、係員の指示に従う。
- 電車やバス:つり革や手すりにつかまる。
- 運転中:急ブレーキを避け、周囲に注意しながら緩やかに速度を落とす。
揺れがすぐに来なくても、直ちに安全と判断しないことも大切だ。気象庁のFAQでは、震源から遠い場合を考慮し、速報を見聞きしてから1分程度は身を守るなど警戒するよう説明している。気象庁のFAQ
誤報を減らす責任は情報を出す側にある。一方、利用する側は、今回の誤報を理由に次の警報への反応を遅らせないことが重要だ。
今後の注目点――修正内容と検証結果を確かめる
次に確認したいのは、「緊急対策を実施した」という発表の先にある調査結果だ。
- 不具合の原因:700キロ以上離れた観測点を除く機能は、なぜ働かなかったのか。
- 対策の検証範囲:今回とは異なる条件でも、過大な警報を防げることをどう確かめるか。
- 揺れの予測との整合性:規模の計算と震度予測で震源が異なった問題に、どのような対策を取るか。
家庭や職場では、警報音が鳴ったときに身を寄せる場所を、今のうちに確かめておきたい。気象庁は11月5日に緊急地震速報の訓練を予定している。参加する施設や事業所では、音を聞くだけで終わらせず、机の下へ入る、頭を守るといった動作まで試す機会になる。気象庁の訓練案内
