豪州でカード払いの追加料金が終了、値札と会計はどう変わる?|2026年10月3日版
オーストラリアでは10月1日から、Visa、Mastercard、eftpos、American Expressのカード払いに追加料金を載せる扱いが禁止された。買い物や外食で「カードを使うと会計が高くなる」仕組みが変わる。ただし、週末料金や予約手数料まで一律になくなるわけではない。豪州競争・消費者委員会(ACCC)の案内が対象を明示している。
もう一つ大切なのは、店が払う決済コストは残ることだ。追加料金が消えても、その分を商品価格に織り込む店はあり得る。今回の改革は、支払額が必ず下がるという約束ではなく、会計時にカード利用を理由に上乗せされる負担をなくすものだ。
- 対象ネットワークのクレジット、デビット、プリペイドカードで追加料金が終了。
- 週末・祝日料金や予約手数料は別の扱い。
- 日本発行の対象カードも原則として対象になる。
- 店舗側の決済手数料も引き下げ・情報公開が進む。
なぜカードの追加料金をやめたのか
以前は、追加料金によって利用者をコストの低い支払い方法へ誘導する狙いがあった。しかし、豪州準備銀行(RBA)は、その仕組みが意図どおりに働かなくなったと判断した。
RBAが挙げた問題は、追加料金を避けにくくなったこと、ルールが複雑で消費者にも事業者にも分かりにくいこと、料金の表示が不十分な場合があることだ。カード払いが広がる一方で、利用者が会計時に負担を知るという問題が残っていた。RBAの改革概要は、追加料金の終了と店舗側の手数料改革を一体で説明している。
豪州政府は10月1日の発表で、消費者が負担していたカード追加料金を約16億豪ドルと説明した。ただし、これは追加料金として徴収されていた額であり、改革後に家計の支出が同額だけ減ると確認された数字ではない。政府発表の負担軽減への期待と、実際の価格変化は分けて見る必要がある。
なくなる料金、残る料金
判断の軸は、カードで支払うことを理由に加算されるかどうかだ。
日本の旅行者が使うカードも原則対象
RBAの最新FAQによると、Visa、Mastercard、eftposの新ルールは、原則として海外発行のカードにも適用される。日本で発行された対象カードを豪州で使う場合も、この変更に関係する。
American ExpressとUnionPayも追加料金を終了した。一方、PayPalの追加料金禁止ルールは10月5日からで、開始日が異なる。個別の例外は各ネットワークのルールによる。RBAのFAQで適用範囲と日程を確認できる。
なお、これは豪州の加盟店が課す追加料金の話だ。日本側のカード会社が設定する海外利用手数料や為替換算条件までなくなるという意味ではない。
週末料金や予約料は別に確認する
カード追加料金の終了後も、支払い方法に関係しない料金は残り得る。
- 飲食店の週末・祝日料金
- 予約手数料
- サービス料
ただし、店が自由に料金を隠してよいわけではない。ACCCは、避けられない追加料金などを含む総額の表示を求めている。飲食店の週末・祝日料金には表示上の例外があるが、適用日と割合をメニューなどで目立つように知らせる必要がある。ACCCの価格表示ルールが、その違いを説明している。
ここがポイント: 「追加料金」という名前だけでは判断できない。カードを選んだために増えた料金なのか、支払い方法に関係なくかかる料金なのかを確認する。
店のコストは残る――値上げと手数料削減の両方を見る
カード追加料金をやめても、決済サービスが無料になるわけではない。
豪州の銀行NABは加盟店向けの案内で、決済手数料や端末のレンタル料などは引き続き発生すると説明している。店には、コストを吸収する、表示価格に織り込む、より安い決済処理を選ぶといった選択肢がある。
同時にNABは、カード利用を理由に徴収する料金を「事務手数料」「サービス料」などに改称しても、ルールに適合することにはならないと注意している。NABの加盟店向け説明は、店頭端末だけでなく、オンライン決済や予約システムの見直しも求めている。
ここから先の価格には、二つの可能性がある。店が手数料の削減分を受け取り、価格への転嫁を抑えられる場合と、残る決済コストを商品価格に組み込む場合だ。どちらが広がるかは、追加料金の項目が消えたかだけでは分からない。
その検証に使う情報も、これから増える。RBAの実施日程では、指定カードネットワークと大手の加盟店決済事業者による手数料情報の公表が10月30日までに始まる。海外発行カードの取引に対するインターチェンジ手数料の上限は、2027年4月1日から適用される。改革の実施日程を見ると、利用者向けの変更と店舗向けの変更が段階的に進むことが分かる。
請求が残っていたら、どこに伝える?
新しい禁止ルールは、RBAが加盟店に直接適用する仕組みではない。RBAがカードネットワークによる追加料金禁止を妨げていた規制を取り除き、各ネットワークが加盟店契約などを通じて禁止する形だ。
このため、カード追加料金のルールを執行するのは、カードネットワークや決済サービス事業者になる。ACCCは、価格についての虚偽・誤認を招く表示などを扱う。ACCCのカード追加料金案内は、問題の種類に応じた連絡先を示している。
追加料金が残っていた場合は、まず店に何の料金かを確認する。カード利用を理由とする料金なら、関係するネットワークや、分かる場合には店の決済サービス事業者へ伝えられる。価格表示に問題がある場合は、州・準州の消費者保護機関やACCCへの報告が別の経路になる。
今後見るべき点は、次の三つだ。
- 会計の上乗せが実際に消えるか。 店頭だけでなく、ネット予約や継続課金にも注目する。
- 表示価格と最終支払額が近づくか。 別名の料金が付く場合は、徴収理由と事前表示を確認する。
- 店舗の決済手数料が下がるか。 10月末以降に公表される情報が、負担の行方を確かめる材料になる。
豪州で買い物や外食をする際は、カード追加料金の有無に加え、メニューや予約画面の総額を確認したい。追加料金が消えた後、値札そのものがどう動くかが次の焦点になる。
