越谷市の中学校給食、実費は月7,400円へ 保護者負担を据え置く公費補填の現在地|2026年8月29日版
埼玉県越谷市は、2026年9月から中学校給食の実費相当額を月7,400円に改定します。ただし、完全給食を利用する家庭の負担は月4,850円のままです。
差額の月2,550円は公費で補われます。今回の改定は家庭への直接的な値上げではなく、食材高騰分を自治体財政が引き受ける措置です。
- 改定日:2026年9月1日
- 中学校の完全給食:月7,400円、保護者負担は月4,850円
- 小学校:2026年度は国などの交付金を使い、保護者負担0円
- 次の焦点:公費補填をいつまで維持できるか
何が変わるのか
越谷市が改定するのは、給食を提供するために必要な食材費の基準です。市は、2025年4月の改定後も物価高騰が続いたため、2026年9月分から再び金額を見直すと説明しています。
中学校で主食、副食、牛乳をすべて取る「完全喫食」の場合、金額は次のようになります。
- 1食当たりの学校給食費:461円
- 1食当たりの保護者負担:289円
- 月額の学校給食費:7,400円
- 月額の保護者負担:4,850円
つまり、月額では実費と家庭負担の間に2,550円の差があります。市はこの差額を当面、公費で負担します。
2025年4月の改定時には、中学校の給食費は月5,553円とされていました。そこから見ると、給食そのものに必要な月額は1,847円増えますが、その増加分は家庭の請求額に転嫁されません。
なぜ「負担据え置き」でも重要なのか
保護者の口座から引き落とされる額だけを見れば、変化はありません。しかし、給食を維持する費用は大きく増えています。
越谷市教育委員会は以前の改定に際し、従来の単価では栄養基準を満たしながら献立を組むことが難しくなり、品数の減少や献立のマンネリ化が避けにくい状況だと説明していました。今回の措置には、量を削ったり、使える食材をさらに狭めたりせずに給食を続ける意味があります。
市の学校給食は、毎日およそ2万7,000人分です。食材は概ね2週間前までに調達するため、価格変動だけでなく、欠席や急な学級閉鎖にも柔軟に合わせにくい仕組みになっています。
ここがポイント: 家庭の支払額は変わらなくても、給食費の上昇が消えたわけではありません。値上がり分の負担者が、保護者から市へ移っているのが今回の実態です。
小学校と中学校で負担が違う
越谷市の小学校給食は、2026年度に限り保護者負担がありません。国の給食費負担軽減交付金と、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用するためです。
市教育委員会の資料によると、財源は次の合計13億1,600万円が見込まれています。
- 国の給食費負担軽減交付金:9億4,000万円
- 物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金:3億7,600万円
一方、国の負担軽減策は小学生が対象です。中学生について、越谷市は完全無償化を財政上の理由から予定していません。そこで市は、従来の保護者負担額を残しつつ、それを超える部分だけを自主財源などで補っています。
同じ家庭でも、小学生は0円、中学生は月4,850円です。兄弟姉妹の学年によって負担が異なるため、制度を「給食無償化」と一括りにすると実態を見誤ります。
保護者が確認しておきたい実務
給食費が公費で支えられていても、利用変更の手続きは必要です。
長期欠席や給食停止
入院や病気などで給食を一時停止する場合、市への届け出が必要です。申請が反映されるのは、受理日から数えて6開庁日後です。
食材発注後の通常の欠席や、感染症による学級・学年・学校閉鎖では返金されません。急な欠席に合わせて食材調達を取り消せないためです。
アレルギーや宗教上の理由
食物アレルギーなどで弁当を持参する場合や、宗教上の理由で主食だけに変更する場合も、それぞれ所定の届け出が必要です。申請内容によって窓口や手続きが異なるため、市の「学校給食のしおり」を確認するのが確実です。
次に見るべきは2027年度の財源
今回の改定で、2026年9月から直ちに家計負担が増えることはありません。給食の質と量を守るという点でも、公費補填には明確な効果があります。
ただし、市は差額負担について「当面の間」としており、恒久措置とは明示していません。小学校の完全無償化も、2027年度以降は国の補助額を見ながら毎年判断する方針です。
今後の確認点は具体的です。
- 中学校の月2,550円の公費補填が2027年度も続くか
- 小学校の保護者負担0円が継続されるか
- 食材価格がさらに上がった場合、献立や財政にどう反映されるか
- 中学校まで国の負担軽減策が広がるか
家庭の請求額が変わらない間も、給食を支える費用は動いています。次に注目すべきなのは、年度末に示される新年度予算と、保護者負担額に関する市の説明です。
