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「解約できない自動更新」に歯止め、カナダBC州でサブスク規制が始動|2026年8月20日版

スマートフォンでサブスクリプションの更新通知を確認する利用者。

「解約できない自動更新」に歯止め、カナダBC州でサブスク規制が始動|2026年8月20日版

カナダ西部のブリティッシュコロンビア州(BC州)で、サブスクリプションの自動更新や訪問販売から消費者を守る新ルールが2026年8月1日に全面施行されました。

核心は、自動更新後でも違約金なしで解約できるようにし、長期契約では更新前の通知と未利用分の返金を義務づけたことです。動画配信だけでなく、食品宅配、クラウドストレージ、新聞など、生活に入り込んだ継続契約が対象になります。

  • 60日以下の更新期間は、更新前後を問わず違約金なしで解約可能
  • 60日を超える更新では、更新日の30〜60日前に通知が必要
  • 長期契約を更新後に解約した場合、未利用分は日割りで返金
  • 暖房設備や太陽光パネルなど、特定商品の強引な訪問販売も規制
目次

自動更新は「解約できること」が有効条件に

今回の改正は、自動更新そのものを一律に禁止する制度ではありません。事業者が更新条項を使うための条件を厳しくし、消費者が契約から抜けられる仕組みを整えました。

Consumer Protection BCの事業者向け案内によると、対象となるサブスクリプションは、継続的に商品やサービスを提供し、税や送料を除く合計価格が50カナダドル以上となる契約です。例として次のサービスが挙げられています。

  • 動画・音楽などのストリーミング
  • 食品やミールキットの定期配送
  • 新聞、オンラインメディア、クラウドストレージ
  • 衣料品、化粧品、玩具などの定期購入

60日以下の更新

月単位など、更新期間が60日以下の契約では、消費者が更新日の前でも後でも解約できなければ、自動更新条項は無効です。解約手数料や違約金も課せません。

ただし、更新後に解約しても、残り期間に相当する料金の返金までは義務づけられていません。月額サービスなら「次の請求を止める権利」が中心です。

60日を超える更新

年額契約のように更新期間が60日を超える場合は、さらに強い保護が働きます。

事業者は更新日の30日前から60日前までに、次の情報を通知しなければなりません。

  • 更新日
  • 解約できること
  • 解約方法
  • 返答しなければ自動更新されること

更新後に解約した場合、事業者は未利用期間に応じた返金を15日以内に行い、継続する支払い手段を30日以内に停止する必要があります。こうした条件を満たさない自動更新条項は、改正法の第25.1条で無効と定められています。

ここがポイント: 契約画面に「自動更新」と書くだけでは足りません。更新期間に応じた解約権、事前通知、返金の仕組みまで整えて、初めて自動更新条項が有効になります。

値上げやサービス縮小にも解約権

見落とせないのが、事業者による一方的な契約変更への規制です。

事業者が変更できる項目は、契約時点で明示しなければなりません。さらに値上げやサービス内容の縮小など、消費者に不利な変更を行う場合は、その内容と解約権を発効日の30〜60日前に知らせる必要があります。

消費者の負担が増える変更であれば、利用者は違約金なしでいつでも契約を終了できます。解約条件や返金条件を消費者に不利な方向へ変えることも、本人の同意なしには原則として認められません。

これは、契約開始時の安い価格だけを強調し、後から料金や条件を変えるビジネスに対する直接的な歯止めです。

契約前に価格と解約条件を示す

改正法は、更新時だけでなく契約を結ぶ入口も変えました。事業者は購入確定前に、価格や追加費用、返品、交換、解約、返金、自動更新の有無などを開示し、利用者が契約全文を確認できるようにしなければなりません。

対象にはオンラインや電話での購入も含まれます。返品制度がない事業者も、何も書かずに済ませることはできず、「返品不可」と明示する必要があります。

契約書の写しについても、多くの対象契約では締結後15日以内の交付が必要です。事前説明と最終契約の内容が食い違う場合や、必要な情報が示されなかった場合には、消費者に解約権が生じる可能性があります。

高額な住宅設備の訪問販売も制限

もう一つの柱は、自宅を訪ねて契約を迫る直接販売への規制です。対象には次のような高額商品・サービスが含まれます。

  • 暖房炉、ヒートポンプ、エアコン
  • 給湯器、浄水設備
  • ダクト清掃
  • ホームセキュリティー
  • 太陽光パネル
  • エネルギー診断や窓の監査

これらを禁止された方法で訪問販売した場合、契約は消費者を拘束しません。販売業者が契約に伴う融資を手配することも禁止されました。高額な設備と長期ローンを玄関先で一度に契約させる手法を封じる狙いがあります。

一方、消費者が自分から業者を自宅へ呼んだ場合や、認可を受けた一部事業者、展示会などの一時的な会場での販売には限定的な例外があります。例外に当たっても、価格や解約条件などの開示義務がなくなるとは限りません。

既存契約すべてが直ちに変わるわけではない

制度を利用するときは契約日を確認する必要があります。新しい契約ルールが適用されるのは、原則として2026年8月1日以降に締結または更新された契約です。

それ以前に結ばれ、まだ更新されていない契約には、締結当時のルールが適用されます。サービスの提供日や支払日、苦情を申し立てた日ではなく、契約または更新の日が基準です。

また、BC州政府が同時期に発表した無料の信用凍結や信用情報へのアクセス強化は、今回の自動更新規制とは施行時期が異なります。信用詐欺対策の新制度は2027年8月の開始予定であり、すでに使える制度と混同しないことが重要です。

日本から見るべき3つのポイント

BC州の制度が投げかける問いは、日本のサブスク利用者にも具体的です。

  1. 解約方法が契約方法と釣り合っているか
    数回のタップで加入できる一方、解約には電話や複雑な画面操作が必要という設計を、制度としてどこまで許すのか。

  2. 年額更新後の未利用分をどう扱うか
    更新直後に気づいても全額返金されない契約は珍しくありません。BC州は長期更新について日割り返金を明文化しました。

  3. 値上げ時に利用者が退出できるか
    通知だけで料金を変えるのではなく、不利な変更を受け入れない利用者に違約金なしの解約権を与える考え方です。

今後の焦点は、州内外にまたがるオンライン事業者が通知や返金の仕組みをどう実装し、Consumer Protection BCが違反をどのように認定・是正するかです。利用者側は、更新通知を保存し、契約日、更新期間、解約申請日を記録しておくと、新ルールの対象か判断しやすくなります。

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