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厳島神社30年の宮島、訪問税4.2億円は何に使われる?混雑対策が生活課題に

厳島神社30年の宮島、訪問税4.2億円は何に使われる?混雑対策が生活課題に

宮島では、観光客から集める「宮島訪問税」が、2026年度に約4億2,580万円の歳入として見込まれています。使い道の中心は、観光PRそのものよりも、ごみ、トイレ、混雑、景観保全といった島で暮らす人と訪れる人の足元の負担を減らす対策です。

2025年の宮島来島者は496万7,481人で、2年連続の過去最多。2026年は厳島神社の世界遺産登録から30年の節目に当たり、観光のにぎわいをどう生活環境の維持につなげるかが、廿日市市の現実的な課題になっています。

  • 2025年の宮島来島者は496万7,481人
  • 外国人観光客は約75万人で、2019年の約2倍
  • 宮島訪問税は1人1回100円、年払いは500円
  • 2026年度の訪問税歳入見込みは4億2,580万円
目次

何が起きているのか

宮島は「観光客が戻った」段階を越え、過去最多の来島者を受け入れる局面に入っています。

RCC中国放送によると、廿日市市は2025年の宮島来島者が496万7,481人だったと明らかにしました。2024年より11万人あまり増え、2年連続で過去最多を更新しています。

増加を押し上げたのは、主に外国人観光客です。日本人観光客は横ばい傾向だった一方、外国人観光客は約75万人。コロナ禍前の2019年と比べて約2倍になりました。

ここで生活に直結するのは、人数そのものです。島に入る人が増えれば、フェリー、宮島口周辺の道路、トイレ、ごみ回収、歩行空間、文化財周辺の案内まで、同じ場所に負荷が集中します。

廿日市市は、こうした行政需要の一部を来訪者にも負担してもらう仕組みとして、2023年10月1日から宮島訪問税を導入しています。

宮島訪問税の基本

市の説明では、宮島訪問税は「住んでよし、訪れてよし」の持続可能な観光地域づくりを目的にした法定外普通税です。

対象や金額は、観光客にとっても分かりやすい制度設計になっています。

  • 対象:船舶で宮島に入域する人
  • 税額:1人1回100円
  • 年払い:1人1年500円
  • 対象外:宮島町の住民、一定条件を満たす通勤者・通学者
  • 免除:未就学児、学校行事の参加者・引率者、障害者手帳の交付を受けている人など

つまり、観光でフェリーに乗って宮島へ渡る多くの人は、運賃などに上乗せされる形で100円を負担します。小さな金額ですが、来島者が年500万人規模になると、島の管理に使えるまとまった財源になります。

2026年度の使い道は「生活インフラ」に近い

廿日市市の2026年度予算資料では、宮島訪問税の歳入見込額は4億2,580万円。訪問税を活用する事業全体の事業費は14億4,413万8千円とされています。

内訳を見ると、観光地としての見栄えだけでなく、日々の使いやすさに関わる項目が目立ちます。

主な区分事業費読者が見ておきたい意味
自然保護・文化振興と歴史的景観の保全3億4,906万6千円文化財や景観を守り、観光の土台を維持する費用
国際観光地としての観光の質と満足度の向上9億1,838万8千円案内、受け入れ環境、混雑時の快適さに関わる費用
安全性・利便性の向上1億4,322万5千円移動や滞在時の安全、使いやすさを支える費用
その他3,345万9千円訪問税の徴収経費など

特に分かりやすいのは、ごみとトイレです。

市の資料では、宮島の環境美化対策として「ごみを持ち込まない、増やさない、散らかさない」という考え方を掲げ、観光客への意識啓発やIoTスマートごみ箱の設置などを進めるとしています。

また、TOTO宮島おもてなしトイレについて、女性用トイレと手洗い場の基数を増やすほか、厳島神社社務所前公衆トイレ整備の基本設計業務も挙げられています。

ここがポイント: 宮島訪問税は「観光客から取る追加料金」というより、来島者の増加で膨らむごみ処理、トイレ、混雑対応、景観保全の費用を、来訪者にも分担してもらう仕組みです。

なぜ生活ニュースとして重要なのか

宮島の話は観光ニュースに見えますが、実際には生活インフラの問題です。

宮島で暮らす人、働く人、通学・通勤で関わる人にとって、観光客の増加は売上や雇用の機会になる一方で、移動のしにくさ、ごみの増加、トイレ不足、道路混雑として返ってきます。

観光客側にも影響はあります。宮島観光協会は、宮島島内は車での観光に適さないとして、対岸の宮島口に駐車し、人だけがフェリーで渡る形を勧めています。理由として、観光施設に駐車場がないこと、多くの人が道路を歩くため車の運転が危険なこと、表参道商店街や嚴島神社付近で時間帯による交通規制があることを挙げています。

さらに廿日市市は、宮島口周辺の駐車場について、繁忙期に「空」「混」「満」で満空情報を表示する仕組みを案内しています。宮島口地区内では駐車場周辺整備工事に伴って駐車容量が減っているため、公共交通機関の利用も呼びかけています。

ネット上の旅行情報でも、宮島を訪れる前の不安として、駐車場、フェリー乗り場、厳島神社周辺の混雑が繰り返し取り上げられています。受け止めは大きく二つに分かれます。

  • 「100円なら負担としては小さいので、トイレやごみ対策に使われるなら納得しやすい」
  • 「混雑そのものが改善されるのか、使い道を継続して見える形にしてほしい」

この違いは重要です。税額への反発よりも、実際に島内の使いやすさが改善されるかどうかに関心が向いています。

30年の節目で問われるのは「増やす観光」だけではない

厳島神社は1996年に世界遺産へ登録され、2026年で30年を迎えます。節目の年は、来訪者を呼び込む理由になります。ただ、宮島の場合、すでに年間約500万人が訪れる場所です。

廿日市市の松本太郎市長は、RCCの報道で、オーバーツーリズムの弊害をどう軽減するかをDMOも含めて研究し、訪問税を積極的に充てたいという趣旨を述べています。

ここでいうDMOは、観光を地域づくりにつなげる組織です。観光庁は2026年4月1日時点で、全国に広域連携DMO10法人、都道府県DMO38法人、地域DMO280法人、候補DMO24法人があると公表しています。宮島でも、観光客を「何人呼ぶか」だけでなく、どの時間帯に集中するのか、どこで詰まるのか、住民の生活動線とどう分けるのかを扱う役割が重くなります。

大事なのは、数字の伸びをそのまま成功と見なさないことです。

  • 来島者が増えても、住民の移動や買い物が極端に不便にならないか
  • トイレやごみ箱の整備が、混雑する場所に届いているか
  • 宮島口側の駐車場不足や渋滞が悪化していないか
  • 訪問税の使途が、観光客にも住民にも分かる形で示されているか

観光地の価値は、神社や景観だけでは保てません。渡る、歩く、休む、捨てる、帰る。その一つ一つが詰まると、旅行者の満足度も、地元の暮らしやすさも下がります。

今後見るべきポイント

宮島訪問税は、導入しただけでは評価が定まりません。2026年度は、税収の使い道が生活環境の改善としてどれだけ見えるかが焦点です。

特に見るべき点は、次の4つです。

  • ごみ対策で、散乱や回収負担が実際に減るか
  • トイレ整備で、混雑時の待ち時間や使いにくさが改善するか
  • 宮島口の駐車場・道路混雑が、公共交通や満空情報でどこまで緩和されるか
  • 世界遺産登録30年のにぎわいを、住民生活への負担増だけで終わらせないか

100円の訪問税は、観光客にとっては小さな支払いです。しかし宮島にとっては、年間500万人規模の人の流れを受け止めるための具体的な財源になります。

次に注目したいのは、税収額そのものではありません。ごみ箱、トイレ、案内、混雑対策が、宮島を歩く人とそこで暮らす人の実感に届くかです。

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