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大津の待機児童対策は「180人分の新園」だけで足りるのか 2026年度予算で見る保活の現実

大津の待機児童対策は「180人分の新園」だけで足りるのか 2026年度予算で見る保活の現実

大津市の2026年度予算で、子育て世帯に最も直結するのは、民間保育施設2園・計180人分の整備補助です。市は令和9年4月開所予定で、中部地域と中南部地域に新たな受け皿をつくる方針を示しました。

ただし、これで保活の不安が一気に消えるとは言い切れません。大津市の2025年4月1日時点の待機児童は132人で、前年から52人減った一方、保留児童は537人に増えています。問題は「園の数」だけでなく、希望する地域、年齢、きょうだいの送迎、保育士確保が重なっている点にあります。

  • 大津市の2025年4月1日時点の待機児童は132人
  • 保留児童は537人で、前年より21人増
  • 2026年度予算では民間保育施設2園、計180人分の整備補助を計上
  • 開所予定は令和9年4月で、今すぐ入所枠が増えるわけではない
目次

何が決まったのか

大津市の2026年度当初予算は、市議会2月通常会議で可決されました。一般会計は1,426億8,400万円で、前年度比2.5%減です。

その中で待機児童対策として目立つのが、民間保育施設の整備補助2億8,308万5,000円です。市の予算資料では、マンション開発などによる保育ニーズの高まりに対応するため、中部地域と中南部地域に保育施設を整備すると説明されています。

具体的には次の内容です。

  • 整備対象: 民間保育施設2園
  • 定員: 90人×2園、計180人
  • 予算額: 2億8,308万5,000円
  • 開所予定: 令和9年4月
  • 担当: 大津市保育入所課

あわせて、市は「こども誰でも通園制度」を2026年4月から実施し、0歳6カ月から満3歳未満の子どもが、保護者の就労要件を問わず時間単位で利用できる仕組みも始めます。病児保育施設についても、市営住宅唐崎駅前団地のテナントを活用し、2026年10月開所予定で整備補助を計上しています。

なぜ大津で保育の不足感が続くのか

数字だけ見ると、待機児童は184人から132人へ減っています。けれども、保活中の家庭が感じる厳しさは、待機児童数だけでは読み切れません。

大津市の公式発表では、2025年4月1日時点の利用申し込み児童数は2,572人で、前年より51人増えました。保留児童は537人です。そのうち、国の待機児童数にカウントされない「特定の保育園等を希望している者等」は405人で、前年より73人増えています。

ここがポイント: 待機児童132人だけを見ると改善に見えますが、希望園や通勤・送迎条件に合わず入れない家庭を含む保留児童は増えています。生活実感に近いのは、この537人という数字です。

背景にあるのは、住宅開発と子育て世帯の集中です。関西テレビの取材では、大津駅周辺などでマンションが増え、京都など周辺都市と比べた価格や広さが子育て世帯を引きつけている状況が紹介されています。市の担当者も、JR比叡山坂本駅からJR大津駅にかけて入園申し込みが多い傾向に触れています。

保育園を必要とする家庭は、単に「市内のどこかに空きがあればよい」とはなりません。

  • 自宅から職場までの動線に合うか
  • きょうだいを別々の園に送迎できるか
  • 1歳児など需要が集中する年齢で空きがあるか
  • 病児保育や一時利用など、働き方に合う支援があるか

この条件が重なるため、定員を増やしても、地域や年齢がずれると不足感は残ります。

地元の受け止めは「歓迎」と「間に合うのか」の両方

報道で紹介された保護者の声を見ると、保育枠の拡大そのものは必要とされています。一方で、子どもが1歳になるタイミングで入れるか、希望する園に通えるか、職場復帰を延期せずに済むかという不安も目立ちます。

毎日放送は、幼稚園と保育園の教職員の給与改定をめぐり、約6,000人分の署名が大津市に提出されたと報じました。背景には、保育士不足に対応するための幼保一括採用があります。これは待機児童対策が、施設整備だけでなく、現場で働く人の待遇や人員配置にも及んでいることを示しています。

つまり、今後の焦点は「箱を増やすこと」だけではありません。

  • 新園の開所までに保育士を確保できるか
  • 1歳児など需要が集中する年齢の枠をどれだけ増やせるか
  • 幼稚園再編や職員制度の見直しで現場の納得を得られるか
  • 保留児童405人のような、統計上は待機児童に入らない家庭の不便を減らせるか

この4点が動かなければ、予算上の定員増と家庭の実感に差が残ります。

2026年度に見るべきポイント

大津市の保育対策は、2026年度に準備し、2027年4月に新園開所で効き始める施策が中心です。したがって、2026年春から夏に保活する家庭にとっては、すぐに状況が改善する話ではありません。

一方で、市が中部・中南部地域に180人分の定員を置く判断をしたことは、住宅開発で需要が高まる場所を見ているという意味があります。問題は、その見立てが実際の申し込み分布と合うかどうかです。

今後、確認したいのは次の点です。

  • 2026年4月1日時点の待機児童数と保留児童数
  • 令和9年4月開所予定の2園の場所、受入年齢、定員内訳
  • 保育士確保策の応募状況と定着状況
  • 病児保育施設や「こども誰でも通園制度」の利用実績

大津の保育問題は、人口が減る時代でも、特定地域に子育て世帯が集まると生活インフラが追いつかなくなることを示しています。次に見るべき数字は、待機児童132人が何人に減るかだけではありません。保留児童537人の内訳がどう変わるか、そして新しい180人分の枠が本当に必要な地域と年齢に届くかです。

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