奈良市、子育て世帯の住宅購入に最大40万円 移住前の手続きが重要|2026年7月19日版
奈良市が、市外から転入して住宅を購入する若い子育て世帯への支援を始めました。基本額は1世帯30万円で、指定区域に住む場合は10万円が加算されます。
ただし、住宅を買ってから移住すれば自動的にもらえる制度ではありません。2026年7月7日以降の契約であること、転入前に事前エントリーすることなど、家探しの段階から確認すべき条件があります。
- 対象は39歳以下の子育て世帯。ひとり親世帯や妊娠中の人がいる世帯も含む
- 新築・中古、一戸建て・マンションの購入が対象。賃貸住宅は対象外
- 基本30万円、指定区域への転入なら最大40万円
- 予算上限に達すると終了するため、契約前の確認が欠かせない
何が始まったのか
奈良市は7月7日、「子育て移住・定住支援金」の受け付けを開始しました。対象になるのは、奈良市外から転入し、市内で自ら住む住宅を購入する世帯です。
奈良市の制度案内によると、主な支給額は次の通りです。
- 基本支給額:1世帯30万円
- 居住誘導区域または居住環境維持区域への転入:10万円を加算
- 合計:最大40万円
対象住宅は、新築・中古住宅、一戸建て、マンションのいずれでも構いません。一方、住宅と土地は申請者や配偶者などの名義で所有権登記を終える必要があり、賃貸での転入は対象になりません。
東部地域では別制度との併用も
月ヶ瀬、都祁、田原、柳生など奈良市東部の対象地域では、空き家・町家バンクの住宅購入・改修補助を併用できる場合があります。
市の発表では、空き家バンク利用時は合計最大80万円、町家バンク利用時は最大90万円です。ただし、それぞれ別の申請が必要で、同じ物件について空き家・町家バンクの購入費補助と改修費補助を同時には使えません。
対象になる世帯、ならない世帯
制度名だけでは分かりにくい条件があります。特に年齢、子どもの年齢、契約日が重要です。
主な世帯要件
申請には、原則として次の条件をすべて満たす必要があります。
- 夫婦ともに39歳以下であること。ひとり親世帯も対象
- 中学生以下の扶養する子どもがいるか、母子健康手帳を交付された妊娠中の人がいること
- 転入直前の1年間、奈良市に住所がないこと
- 世帯全員が対象住宅に住民登録し、5年以上住み続ける意思があること
- 移住後5年間、市の調査やアンケートに協力すること
- 市区町村税の滞納がないこと
年齢や子どもの要件には判定時点が定められています。境目に当たる世帯は、物件を契約する前に市へ確認した方が安全です。
対象外になる代表例
- 2026年7月7日より前に住宅を契約している
- すでに奈良市へ転入している
- 賃貸住宅へ引っ越す
- 住宅を買うが、自ら居住しない
- 転入前の事前エントリーをしていない
ここがポイント: 支援金を前提に資金計画を組むなら、物件の契約日だけでなく「転入前の事前エントリー」までを一つの手順として考える必要があります。
申請は「契約後」と「転入後」の2段階
手続きは一度では終わりません。住宅契約後の事前エントリーと、転入後の本申請に分かれています。
1.転入前に事前エントリー
2026年度の事前エントリー期間は、7月7日から2027年1月31日までです。住宅の契約後6カ月以内、かつ奈良市へ引っ越す前に申し出る必要があります。
この時点では支給が確約されません。契約書、現在の住民票、住宅所在地が分かる地図などを提出し、転入後の本申請へ進みます。
2.転入後に本申請
転入後6カ月以内に、転居後の住民票や建物の登記事項証明書、前住所地で税を滞納していないことを示す書類などを提出します。市の審査を経て、交付が正式に決まります。
申請はオンライン、窓口、郵送に対応しています。ただし、受け付けは先着順で、予算上限に達した時点で終了します。市は予算を1,200万円とし、30~40世帯程度を見込んでいます。
なぜ住宅購入に絞ったのか
今回の制度は、単に転入者を増やすだけでなく、子育て世帯に長く住んでもらうことを狙っています。
奈良市は2025年に424人の社会増となり、2019年から7年連続で転入超過を記録しました。一方、市が示した2024年の0~14歳の社会増は320人で、2026年の目標である500人には届いていません。
そこで市は、若い世帯が住宅を買う時期に着目しました。市の発表が引用する国土交通省の調査では、新築住宅の購入率は30歳未満が13.2%、30代が43.7%。住宅取得を決める世帯に直接働きかけ、転入から定住へつなげる設計です。
ただし、購入世帯に対象を絞った分、初期費用を用意しにくい世帯や、まず賃貸で地域との相性を確かめたい世帯には届きません。30万~40万円は引っ越しや家具購入の負担を軽くしますが、住宅価格そのものを大きく左右する額ではない点も冷静に見る必要があります。
地域で注目されている理由
制度開始後、地域情報サイトでも、最大40万円の基本制度と東部地域での併用策が紹介されました。関心を集めやすいのは金額だけでなく、新築マンションや中古住宅も対象に含まれる点です。
一方で、紹介記事でも契約日、事前エントリー、予算上限への注意が強調されています。制度を利用する人にとって重要なのは、「最大90万円」という数字だけで物件を決めず、対象区域と併用条件を個別に確認することです。
次に見るべき3つの点
制度の成否は、申請件数だけでは判断できません。今後は次の点が焦点になります。
- 利用実績:30~40世帯の想定枠が、いつ、どの地域で埋まるのか
- 定住効果:支援を受けた世帯が5年後も住み続け、地域活動や学校を支える住民になるか
- 対象外世帯への対応:賃貸から始めたい世帯や40歳以上の子育て世帯にも、別の移住支援を用意できるか
利用を検討する世帯は、売買契約を結ぶ前に年齢・住所・区域の条件を確認し、契約後は転入より先に事前エントリーを済ませる必要があります。まず見るべきなのは支給額ではなく、自分の契約と引っ越しの順番が制度に合っているかです。
